１０日午後３時ごろ、ソウル市龍山（ヨンサン）区のオフィステル（オフィス兼住居）。ソウル観光警察隊の違法宿泊業取り締まりの真っ最中だった。５６０世帯余りのオフィステルは観光名所として挙げられる南山（ナムサン）・明洞（ミョンドン）などに近い。そのため一部の所有者が外国人観光客を相手に宿泊業を行っている。現行の公衆衛生管理法上の違法行為が宿泊共有サイトを通じて堂々と予約まで行われているという。

実際、このオフィステルの地下の郵便受けには「玄関用カードキー」が発見された。しばらくしてフランス人Ａさん（５５）が旅行用スーツケースを引いて郵便受けに向かってきた。警察はＡさんが慌てないように身分を明かし、違法宿泊施設の取り締まり状況を説明した。Ａさんは捜査にはかなり協力的だった。宿泊共有サイトを介して３泊４日の日程で予約した（２００ユーロ、約２万４０００円）と述べた。

ソウル観光警察隊のイ・へウォン隊長は「いざ入室しようとすると追加料金を要求したり、突然予約を一方的にキャンセルしてしまう場合が相次ぎ、未申告の宿泊業を取り締まっている」と述べた。昨年、ソウルだけで３０３件摘発された。

観光警察隊は韓国を訪れる外国人観光客の治安への不安を解消するために２０１３年に発足した。発足直前の年に初めて外国人観光客１０００万人時代となった。観光警察隊は現在ソウルと釜山（プサン）・仁川（インチョン）で運営中だ。済州（チェジュ）は地方警察庁所属ではなく、２０１６年に自治警察団に観光警察組織が新設された。観光警察所属の警察官は多様な外国語能力を備えている。価格を表示していないレストランからタクシーのぼったくり料金、偽商品の取り締まりなど、様々な活動を行う。

４月にある日本人観光客（２２）が携帯電話を紛失したが、スケジュールの都合上やむを得ず出国した。幸いなくした携帯電話は見つかったが、バッテリーの爆発の危険のため国際配送が不可能な状況だった。ちょうど日本への旅行計画があった観光警察隊員が日本現地から宅配便で送った。この日本人は「情熱に驚いた。おかげで韓国のイメージがさらに良くなった」と感謝を伝えたという。また、台湾人観光客の迷子になった娘をごった返すソウルの中心部で１時間１０分で見つけたこともあった。

観光警察隊の活躍は、外国人観光客が体感する治安満足度に大きな影響を与えたという。文化体育観光部が主管した「２０１８外来観光客実態調査」で治安分野の満足度は９１．３点（１００点満点）で１位になった。２０１２年から７年連続で首位だ。ショッピング（８９．８）、出入国手続き（８７．７）、公共交通機関（８７）は９０点を超えなかった。

このような韓国の観光警察隊に外国の関心も高まっている。２０２０年に東京五輪を控えた日本のスポーツ界関係者らが、昨年の平昌（ピョンチャン）五輪開催当時にサポートに来た観光警察にかなりの関心を見せたという。更にウズベキスタンは観光警察隊をベンチマーキング中だ。

しかし、現在人材不足の問題は補完すべき点だ。ソウル観光警察隊の場合、義務警察の廃止方針により義務警察の人材補充が行われないため、休日に自発的に働くボランティア勤務などで支えている。義務警察は従来の４９人から現在１３人に減っている。今月２０日に３人除隊する。

更に運営予算の問題も解決すべき課題というのが専門家の主張だ。中源（チュンウォン）大学警察行政学科のイ・サンヨル教授は、「観光警察は動く『観光ガイド』だ」とし、「自治体レベルのサポートだけでなく、観光振興開発基金の一部を活用する方法もある」と述べた。