【時視各角】ビーガン、金英哲、そして康京和の人形
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.05.29 13:43
先週ワシントンを訪問した韓米議会外交フォーラム所属の与野党代表団の話題は「人形」だった。「人形」発言はビーガン北朝鮮担当特別代表との面談で出てきた。情報筋によると、ビーガン特別代表は韓国議員らに冴えない表情で「私は人形(doll)だ」と語ったという。その意味が気になっていた代表団にビーガン特別代表はこのように説明した。「口があっても言えず、うまくいかなくても笑顔でなければいけない。だから人形だ」。米国の前副大統領(バイデン氏)よりも金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長を高く評価して北朝鮮の短距離弾道ミサイルなど気にしないというトランプ大統領、金正恩委員長を強く制裁すべきだというワシントンの強硬論、そしていくら「ラブコール」を送っても返答がない北朝鮮に取り囲まれたビーガン特別代表の現実的な限界と悩みを象徴的に表した言葉、それが「人形」だった。
人形は米国だけにあるのではない。昨年のシンガポール米朝首脳会談当時のエピソードだ。金正恩委員長は会談の終盤に「我々はミサイル基地XXXを閉鎖する考えがある」と述べた。トランプ大統領への贈り物だった。合意文には入らなかったが、トランプ大統領が会談直後の記者会見で自慢した内容だ。ところが会談場にいた米国側関係者は金正恩委員長が述べたXXXがどこかについてはっきりと把握できなかったという。「東倉里(トンチャンリ)」のようではあるが、そのように明確に通訳されなかったからだ。やむを得ず会談後にある人が北朝鮮の金英哲(キム・ヨンチョル)労働党副委員長に近づいて「それはどこなのか」と尋ねた。すると金英哲副委員長は慌てながら「指導者同志が述べたことを私に繰り返して話せというのか」と怒りを表した。そして急いで席を外した。やむを得ず次に訪ねたのが金正恩委員長の妹の金与正(キム・ヨジョン)党中央委員会第1副部長だ。金与正副部長は「少し待ってほしい」と言った後、すぐに戻ってきて兄の言葉を伝えたという。その後に展開された過程を見ると、金正恩委員長が東倉里の別称「西海(ソヘ)衛星発射場」と答えたと推定される。とにかくこのエピソードは金正恩-金与正の前では「人形」でしかない金英哲副委員長の限界を如実に見せている。