２００３年１０月１７日、ラムズフェルド米国防長官は龍山（ヨンサン）国防部庁舎で「ニューヨークのセントラルパークに外国軍隊が駐留すれば米国国民が受け入れるだろうか」と述べた。しかしラムズフェルド長官の言葉には引っかかるものがあったという。その後、龍山基地の移転は加速したが、在韓米軍は１万人ほど縮小された。韓米同盟も順調でなかった。現在、北朝鮮の核問題でそのような雰囲気が戻ってきている。米国の北朝鮮核・ミサイル専門家、ジェフリー・ルイス博士が最近出した小説が懸念をさらに強めている。北朝鮮の核攻撃で韓日米で２８０万人以上が死亡するという仮想シナリオだ。

龍山基地を含む在韓米軍基地移転計画に基づき、米軍部隊はほとんどが平沢（ピョンテク）と大邱（テグ）地域に移った。米第８軍と在韓米軍司令部も平沢に行った。韓米連合軍司令部だけが国防部庁舎地域に移転する計画で龍山基地に残った。米国はこの計画で海外米軍基地のうち最も大きく現代化された平沢基地を確保した。米軍平沢基地は近隣の烏山（オサン）米空軍基地と連係し、平沢港から近距離にある韓国海軍基地とともに陸・海・空軍が集まる戦略基地に変わった。中国を目の前で牽制できる前進基地としての機能が可能だ。中国としては平沢基地が厄介な存在となる。

米国は中国を近くで牽制しながら２１世紀の北東アジアで戦略的均衡の基盤となる平沢基地をあきらめることがあるだろうか。答えは断言できない。北核問題解決と韓米関係がカギとなる。北核交渉過程で韓米関係までが悪化したり、北核脅威があまりにも大きければ、米国が平沢基地をあきらめる道を選択する可能性もあるかもしれない。韓国としては深刻な危機だ。実際、現在、北核交渉はかなり難しい局面を迎えていて、韓米関係もそれほど良いわけではない。

まず、北核交渉はボルトン米大統領補佐官の対北朝鮮警告から推察できる。ボルトン補佐官は４日にワシントンで開かれた「ウォールストリートジャーナル（ＷＳＪ）最高経営責任者カウンシル」行事で、「トランプ大統領が彼ら（北朝鮮）のために扉を開いた」とし「もう彼らは歩いて入ってこなければいけない」と述べた。「北朝鮮は今まで約束に応じていない」とも語った。ボルトン補佐官の発言は２回目の米朝首脳会談開催を促すレベルだが、「扉が閉まれば機会はない」という警告として聞こえる。機会の扉が閉まれば首脳会談は消え、北朝鮮には過酷な制裁が残るということだ。

一方、北朝鮮は米国と板門店（パンムンジョム）で接触しながらも外堀攻略に動いている。北朝鮮朝鮮中央通信は５日、「恒久的で確固たる平和体制を樹立するにはすべての軍事行動を中止しなければいけない」と明らかにした。北朝鮮が中止すべきという軍事行動とは３月初めの韓米キー・リゾルブおよびトクスリ演習を含む軍事訓練だ。核交渉で時間稼ぎををしながら韓米同盟は弛緩させようということだ。その一方で北朝鮮は大陸間弾道ミサイル（ＩＣＢＭ）級長距離ミサイルの嶺底里（ヨンジョリ）基地を拡充している。ＩＣＢＭ開発と核兵器生産も中断していない。こうした中、米国は最近、韓国情報当局に対して敏感な戦略情報の提供を制限し、両国の外交安保チャンネルも作動していないという。同盟は弱まり、北核の脅威は強まっているのだ。


＜Ｍｒ．ミリタリー＞最悪の北朝鮮核攻撃シナリオと韓半島デカップリング（２）