文在寅（ムン・ジェイン）大統領が派遣した北朝鮮特使団が５日、金正恩（キム・ジョンウン）国務委員長に会って大統領の親書を手渡した。青瓦台（チョンワデ、大統領府）の金宜謙（キム・ウィギョム）報道官はこの日午後、「特使団が金委員長と会って親書を伝達して意見を交わした」とし「訪朝の結果についてのブリーフィングは６日午前に行う予定」と発表した。この親書には、米国と調整済みの非核化仲裁案が入っているとみられている。特使団がこの日午前９時、平壌（ピョンヤン）の順安（スンアン）空港に到着した後、高麗ホテルで金英哲（キム・ヨンチョル）労働党中央委副委員長兼統一戦線部長、李善権（リ・ソングォン）祖国平和統一委員長と面談した。続いて特使団は労働党本庁に移動し、金正恩委員長と公式に面会して文大統領のメッセージを伝達した。特使団は、金委員長と会った席で非核化に対する北側の前向きな措置を要請する一方、今月中・下旬と予想されている南北首脳会談の日程を最終調整したものとみられる。

特使団は北側要人と夕食をともにした後、韓国に戻った。金報道官は夕食出席者に対する情報がないと述べたが、青瓦の高位関係者は「予定されていなかった夕食会だった」とし、金委員長が直接この夕食会に参加した可能性に重点を置いた。夕食会を金委員長が主催したとすれば、「午前公式面談→南北間実務意見調整→夕食会」の過程を経たことが予想される。

特使団はこの日午後８時４０分に平壌を出発して９時４４分に京畿道城南（キョンギド・ソンナム）のソウル空港に到着した。北朝鮮滞在時間は１１時間４０分ほどだ。夕食会の時間は３月の訪問時に比べて半分ほどの２時間余りと推定される。特使団は帰還直後、直ちに青瓦台に移動して文大統領に訪朝結果を報告した。

青瓦台は訪朝結果に対して極度に慎重な反応を示した。それでも青瓦台高位関係者は「金正恩委員長に会い、予定になかった夕食会が行われたところから推測して、雰囲気は悪くないようだ」とし「特使団が首脳会談日程など所期の結果を持って帰ってきた可能性が高い」と話した。また、別の核心関係者も「徐薫（ソ・フン）国家情報院長ラインを通じて多くの事案に対するすり合わせが行われた後、特使団の訪朝を推進したもの」としながら「前日、韓米首脳間の電話会談でもすでに意見を最終調整したものと承知している」と伝えた。青瓦台周辺では、特使団が南北首脳会談と南北共同連絡事務所開所日を確定するなど、南北関係進展のための主要日程に合意したとみている。また、韓半島（朝鮮半島）新経済地図の構想や統一経済特区の設置など、南北経済協力進展方案も協議した可能性が高い。

青瓦台核心関係者は「北朝鮮の非核化と制裁解除に対する包括的合意を導き出す契機になることを期待する」とし「特に、非核化を前提に制裁解除に対する共感が得られれば、９月の首脳会談で経済協力などに議題を拡張することができるようになるだろう」と述べた。政府当局者も「１回目の特使団訪問時のように、金委員長が２回目の米朝会談に対する開催意志を明らかにした可能性もある」と伝えた。青瓦台関係者は「訪朝結果は、当然、米国とも直ちに共有した」と説明した。