【コラム】韓国のTHAAD問題は政府の決定障害と疎通の不在がもたらした惨事(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2017.06.29 10:04
高高度ミサイル防衛(THAAD)体系は敵が発射した弾道ミサイルを途中で攻撃して無力化する防御用武器だ。レーダーで敵のミサイルを探知して追跡し、最適の瞬間に迎撃ミサイルを発射して2つのミサイルを衝突させる「直撃(hit-to-kill)」方式だ。音速の8.2倍(秒速2.8キロメートル)で飛行する迎撃ミサイルが同じ速度で飛んでくる敵のミサイルと衝突すれば300MJ(メガジュール)という大きな運動エネルギーが発生する。1トンの自動車が時速160キロメートルでぶつかった時に発生するエネルギーが1MJだ。THAADの迎撃ミサイルはX-バンドレーダーの誘導とミサイルに搭載されている赤外線探索器に支えられて敵のミサイルの弾頭を正確に攻撃する。その時に発生するエネルギーと高熱により、弾頭は完全に分解されて粉になるか、溶けてしまう。
北朝鮮による核とミサイル脅威に対抗して在韓米軍が搬入したTHAADが絶えず論争の火種になっている。軍事技術的な意味を越えて国際政治的問題に飛び火し、国内では賛否両論が対抗しながら保守・進歩間の理念対決に広まっている。一つの武器体系に過ぎないTHAADのせいで南南葛藤が広がり、韓中関係と韓米同盟が動揺しているのは本末転倒のナンセンスだ。安保のために配備したTHAADのせいでむしろ安保が揺れている。正確な判断に基づき、政府が責任感を持って最初からちゃんと対応できたとすれば、不必要な問題と消耗的な論争を防ぐか減らすことができたはずだ。THAAD問題は政府の決定障害と軍当局の疎通の不在がもたらした惨事だ。政府の無能さと無責任のせいでTHAADは「怪物」に変わって尻尾が胴を揺さぶっている。