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【中央時評】成功した指導者の道=韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2015.11.28 11:30
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最近うれしいことと残念なことが同時にあった。うれしいことは21日に東京ドームで行われた野球国家対抗戦「2015プレミア12」決勝で韓国が米国に8-0で勝ち、初代チャンピオンになったことだ。大会の優勝を狙って競技日程や場所などすべて自分たちに有利になるよう調整した日本との準決勝で、0-3とリードされていた9回に4-3と逆転して勝った後、優勝までしただけに、その感動は言葉で表せないほどだ。「野球は9回裏ツーアウトから」という言葉があるが、日本戦で9回の3点差逆転は決して容易なことでない。実にうれしいことだ。

残念なことは14日に約10万人が集まった光化門(クァンファムン)広場の大規模デモ現場で、農民のペク・ナムギさんが警察の放水銃を受けて重体になったことだ。文民政府に入って20年余り過ぎたが、まだ主権者が自分の意思を大規模デモで表示しなければならないほど主権者と国政運営者の距離が遠いという事実が何よりも残念だ。民主主義社会でデモは憲法に保障された基本権の一つであり、弱者が自分の意思を表明する最後の手段であるかもしれないが、それほど望ましい意思表現の方法ではなく、暴力的な形であればなおさらそうだ。しかし「大規模群衆」がデモで意思を伝達しようとした原因が何かを考えず、ただ強圧的に防ごうとする政府の態度も正しくない。自由と正義に対する渇望は人間の本性であり、大衆は今日は厳しいが明日はより良くなるという希望が折れたり、自分の意思を表現する適当な方法がなければ、デモは繰り返され、その強度は高まるからだ。

 
「2015プレミア12」大会の逆転勝ちと優勝の過程の中から、我々は大規模デモが再発しない方法を探すこともできる。今大会に出場した韓国代表チームは過去に比べて弱体と評価されたが、多くの悪条件を乗り越えて優勝した。これに対しメディアは「28人の選手全員を英雄にした」金寅植(キム・インシク)監督のリーダーシップを高く評価した。選手一人一人の能力を引き出して調和させた指導者の力が優勝に導いたということだ。

一国の繁栄時代を開いた指導者が最も重要だと考えたのは君主自身でなく「民」だ。約2600年前の春秋戦国時代の斉の宰相で、中国の後世政治家だけでなく朝鮮の鄭道伝(チョン・ドジョン)まで見習った管仲は、「倉廩実ちて則ち礼節を知り、衣食足りて則ち栄辱を知る」とし、民に服従を要求する前に民の生活に必須である経済的な土台を先に築くよう教えた。そして世の中の混乱の根本原因は「君主が君主らしからず、臣下が臣下らしからぬため」だとし、指導者は自分の職位に合う礼節と役割を果たすべきだと力説した。指導者の地位にふさわしい徳目は何よりも民の心を読み取ることだ。朝鮮時代、世宗(セジョン)は民の生活を体験するために景福宮(キョンボックン)で農作業をし、正祖は「小さなことを重く考えてこそ国は正しく立つ」として民意を重視した。

14日のデモは賛成より反対世論が多いにもかかわらず国定教科書を推進したことから始まったが、その裏には深刻な構造的不平等がある。親の地位と財産が次世代につながる格差の世襲、良い雇用の不足と不安な雇用、2010年基準で上位10%の所得が下位70%所得の倍以上という所得の二極化、国内総生産(GDP)に対する福祉予算比率と租税の所得不平等改善効果が経済協力開発機構(OECD)最下位の制度、そして国と企業は豊かだが庶民大衆の生活は厳しく希望がないのが韓国社会の暗い裏面だ。観衆の指摘のように国民の経済的土台が安定しなければ、礼節を道徳を見るのは難しくなる。セウォル号の遺族の断食座り込みを暴食闘争だと嘲弄する人を党職に任命した与党指導部や、武器使用を軽く口にする与党国会議員の発言のように、指導層にふさわしくない行動はそうでなくても煮え立つ民心に油を注ぐようなものだ。

指導者の力はスポーツから国にいたるまで重大な影響を及ぼす。大衆がいつも正しいわけではないが、だからといって大衆を葛藤と恐怖に追い込んでは立派な指導者にはなれない。国民を安心させず、国民の経済的土台を安定させず、国民の意思を尊重せずに成功した政権はなかったことを、今日の国政責任者は記憶する必要がある。成功しようとする指導者は、国民が見習うのに不足がない言動とすべての国民が共に良い暮らしをする政治哲学を見せ、国民と疎通する国政運営をしなければいけない。それが成功へ進む指導者の道であり、国民を幸せに導く道だ。

鄭雲燦(チョン・ウンチャン)同伴成長研究所理事長/元首相

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