朴槿恵（パク・クネ）大統領の中国訪問で韓中自由貿易協定（ＦＴＡ）発効に向けた時計がさらに速く回ることになった。朴大統領と李克強首相は２日の会談で、「両国政府が韓中ＦＴＡの早期発効に向け最善の努力を傾け、ＦＴＡ効果最大化に向け非関税障壁解消に共同で努力する」ということで合意した。

韓中首脳会談と李首相との会談を契機に両国政府はこの日３３件の経済協力了解覚書（ＭＯＵ）を締結した。このうち９件がＦＴＡ発効を促進させるための貿易投資関連ＭＯＵだった。現在韓中ＦＴＡは韓国では国会外交統一委員会で係留されており、中国では国務院審査が進行中だ。青瓦台（チョンワデ、大統領府）は貿易投資関連ＭＯＵを大挙締結したことが批准と発効につながる手続きを加速化すると予想している。

この日締結された貿易投資関連ＭＯＵのうち代表的なものが品質検査・検疫協力ＭＯＵと標準・認証分野ＭＯＵだと青瓦台は説明した。貿易品に対する品質検査や検疫、標準や認証関連手続きで互いに便宜を提供する内容だ。これを通じ両国間の貿易で輸入を抑えるための非関税障壁を緩和できると青瓦台は期待した。この場合ＦＴＡ発効にも役立つ見通しだ。

朴大統領と李首相は、「大規模経済使節団訪問と多様なＭＯＵ締結を契機に民間レベルの貿易と投資をさらに活性化する」ということにも合意した。この日締結されたＭＯＵのうち、「民間貿易・投資増進に向けた協議チャンネル構築」「電子商取引など消費財流通チャンネル確保」などが民間交流を引き上げるためのものだ。青瓦台は「ＦＴＡを契機に韓国の対中経済戦略は『メイド・イン・チャイナ戦略』（生産基地として活用する戦略）から、『メイド・フォー・チャイナ戦略』（主要消費市場として集中攻略する戦略）に転換しなければならない。今回のＭＯＵがＦＴＡ効果を最大化するだろう」と話した。中国は内需市場規模が２０２０年までに１０兆ドルまで成長すると推定される巨大市場だ。

このほかに韓中は２０００億ウォン（約２０３億円）規模の文化関連ベンチャーファンドも作ることにした。韓国のファンドである韓国ベンチャー投資と中国産業銀行の子会社であるＣＤＢＣが合弁で文化コンテンツとソフトウェア開発などを支援することで合意した。韓国政府関係者は「２０００億ウォン規模は韓国が他の国と合弁で設立した国家間のベンチャーファンドで最大規模」と明らかにした。すでに韓中両国は昨年『別れの公式』『２０歳よ、もう一度』のような合作投資映画を制作した経験がある。

両国は保健・医療交流の門も開いた。聖母病院と上海市内の病院の間でＭＯＵを締結し韓国の保健・医療分野の中国進出ルートを用意した。中国は２０２０年までに保健・医療産業規模を１兆２０００億ドルまで育てる予定だ。朴大統領はまた、李首相に「北朝鮮が核放棄の道に出るならこれを積極的に助けるため北東アジア開発銀行設立を提案している」と話した。李首相は「朴大統領の提案を重視し今後真剣に提案を検討していく」と答えた。朴大統領と李首相との会談は釣魚台で午後４時３５分から４０分間にわたり行われた。　今回の朴大統領の訪中には過去最大規模となる１５６人の経済使節団が同行した。経済使節団は今年初めの朴大統領の中東４カ国歴訪の時から実施した現地企業との１対１ビジネス商談会を２度開き実質的な契約受注成果を上げる計画だ。