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<サッカー>悲しい境界人、鄭大世…北朝鮮代表に呼ばれず、韓国ではエージェントが横領(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2014.08.29 14:48
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境界人--。在日同胞3世のサッカー選手、鄭大世(チョン・テセ、30、水原)を説明する時に登場する表現だ。韓国・日本・北朝鮮の3カ国に縁があるが、どの一つにも属することができなかった在日の人生がこの言葉に溶け込んでいる。昨年水原サムスンに入団した鄭大世の人生も平坦ではなかった。結局は境界を崩せなかったのが原因だった。耐えがたい状況が彼の周辺を台風のように襲った。「境界人」鄭大世を再び立ち上がらせたのは血、そして情だった。

南と北、そして日本と縁を持つ鄭大世の人生はドラマチックだ。日本の名古屋で生まれたが、韓国(慶尚北道義城)出身の祖父に従って韓国国籍を受けた。民族学教で北朝鮮式の教育を受けた縁で、北朝鮮サッカー代表に抜てきされた。昨年彼がケルン(ドイツ)を離れて水原に入団したのは根を探すための努力の一環だった。鄭大世にとってKリーグ、韓国サッカーは本能的に引かれる対象だった。試練もあったが、競技場の内外で「頑張れ」と励ましてくれる韓国人独特の温かさは「半分異邦人」には大きな支えとなった。

 
28日に京畿道華城市にある水原サムスンのクラブハウスで会った鄭大世は「結局、私には『人』が最も大きなトピックであるようだ」と言って笑った。韓国に渡った後、人々から力と勇気を得たが、一方ではその「人」のために苦しんだという告白もした。昨年、鄭大世は国家保安法違反という声を聞き、精神的に苦しんだ。政治についてよく知らず関心もない鄭大世が、北朝鮮代表に抜てきされた後に行われた外国メディアのインタビューで何気なく話したことが問題になった。鄭大世はしばらくインタビュー要請を拒否し、外部との連絡を断つなど「心理的監禁」状態を経験した。配偶者に会って結婚したが、名前も顔も公開できなかった。

今年はもう一つの試練があった。お金の管理を任せていた元エージェントが相当額を流用していたことが分かったのだ。一人で韓国に渡ってきた鄭大世が家族のように信じて頼っていた人物だけに、ショックは大きかった。鄭大世は「失ったお金より、人を信じられなくなったのがもっとつらかった」と語った。

仁川アジア競技大会も鄭大世に悲しみを抱かせた。北朝鮮代表の看板FWであるうえ、韓国サッカーについて誰よりもよく知っているだけに、オーバーエイジ(23歳超過選手)枠での抜てきを期待したが、ついに名前は挙がらなかった。冷たい南北の政治気流の中で「イシューメーカー」の鄭大世が浮き彫りになるのを北朝鮮体育界が望まなかった。失望感は競技力の低下につながり、鄭大世はベンチを抜け出せなかった。


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