【中央時評】核兵器、その破壊的誘惑=韓国(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2013.03.20 15:08
朴正煕(パク・ジョンヒ)元大統領は最後の運命を予感したようだ。1979年の梅雨は激しかった。全国が濡れた。韓米首脳会談が開かれた7月1日、その一日だけが瞬間的に日が差した。しかし会談に同席したサイラス・ヴァンス米国務長官は回顧録で「最悪の会談だった」と告白した。ヴァンス氏は「私たちの警告を無視して、朴大統領は45分間、在韓米軍撤収に反対する声明を読み続けた」と述べた。非公開単独首脳会談はもっと深刻だった。在韓米軍を撤収すれば、また核武装を進めるしかないという激しい舌戦が交わされた。憂鬱になった朴大統領は2日後、長い間の側近を青瓦台(チョンワデ、大統領府)に呼び、酒杯を傾けながらこう述べた。
「もしかするとここが私の人生の最期かもしれない」。「どうしてそんな弱音を吐くのか」という引き止めに朴大統領は言葉を濁したという。「違う、核兵器は全く違う次元のものだ。それでも国のために命をかけるほどの価値があるだろ」。長いあいだ朴大統領に仕えてきたこの人物は、朴大統領の顔が一度も見たことないほど暗かったと振り返った。そして3カ月後、10・26事件(暗殺事件)が起きた。核兵器とこの悲劇の因果関係は相変わらずあいまいなままで残っている。しかしこの人物はしばらく疑問を拭うことができなかった。彼は「核兵器は自らを破壊させることもある諸刃の剣」と語った。