米国系グローバル広告代理店ポーターノベリのゲリー・ストックマン最高経営責任者（ＣＥＯ）は、ツイッターやフェイスブックに書き込まれる数多くのコメントをチェックする。自分の依頼人に少しでもマイナスになるような情報を速やかに見つけ出し、大きな危機に発展しないように処理するのがストックマン氏の仕事だ。ソーシャルネットワークサービス（ＳＮＳ）の人気が、「リスクマネジメント（Ｒｉｓｋ　Ｍａｎａｇｅｍｅｎｔ、危機管理）」を本業とするストックマンＣＥＯにもう一つの仕事をもたらしたのだ。

最近訪韓したストックマンＣＥＯは「企業や著名人にＳＮＳ危機管理は必須」と述べた。小さな火種を扱うのは、大火事を鎮火するのに比べるとはるかにやさしい。ＳＮＳでも問題になりそうな火種をできるだけ早く見つけ出し、適切な措置を取るのが、それだけ重要になったということだ。

ポーターノベリがＳＮＳで火種を探すのに使用する道具は「ＲＴＲＴ（Ｒｅａｌ－Ｔｉｍｅ　Ｒｅｐｕｔａｔｉｏｎ　Ｔｒｅｎｄ」。ポーターノベリは最近、これを活用して、昨年のサムスン電子、現代（ヒョンデ）自動車に関するツイッター内容を分析した結果が注目される。

サムスン電子の場合、オフライン調査では名声１位の企業であるにもかかわらず、プラスの内容のコメントがリツイートされる回数が平均１．４回だったのに対し、内容がよくないコメントのリツイートは７．３回に達した。現代車の場合、労使葛藤、正社員労組の子の採用、下請け業者などの問題に関する否定的な論調のコメントが多かった。ＳＮＳ危機管理がきちんとできていないのだ。

ストックマンＣＥＯは「最も重要な危機管理は、問題が勃発する前にＳＮＳを積極的に活用し、信頼できる友軍を作っておくこと」と述べた。草創期に問題になりそうな火種を発見できずに膨らんでも、友軍が多ければ「そんなことをする人（または企業）ではないが…」として静かに収まるということだ。

ＳＮＳに過度に敏感に反応するのも控えるべきだと強調した。時間が解決するようなことまでにも過敏に反応すれば、むしろ‘自滅’する可能性が高いという説明だ。ストックマンＣＥＯは、韓国の数人の大企業総師が世論の批判を受けてツイッターをやめた例を取り上げながら、「率直な姿もよいが、朝食に何を食べたかという内容まで載せるのはやや行き過ぎているようだ」と話した。

ストックマンＣＥＯは米国政府とグローバル企業を対象にソーシャルメディアと伝統メディアをまとめて観察する「レーダー（ＲＡＤＡＲ）」サービスも提供中だ。数十にのぼるテレビチャンネルの多数のプログラム、ＳＮＳメディアまでチェックし、顧客の危機を管理するサービスだ。

ストックマンＣＥＯはオバマ米大統領が候補として活動した時代、民主党キャンプの広報戦略について助言したりもした。