一昨日出版されたスティーブ・ジョブズの公式伝記『スティーブ・ジョブズ』を読みながら何度か戦慄が走った。 反抗心と固執でかたまった、このうえなく気難しい人物。 同僚や部下は映画「スタートレック」に出てくる用語「現実歪曲空間」（ｒｅａｌｉｔｙ　ｄｉｓｔｏｒｔｉｏｎ　ｆｉｅｌｄ）を彼が駆使すると考えた。 目標を達成するためなら現実はもちろん、他人や自分までも拒否して欺まんしたからだ。 彼はいかなる既存規則も自分には適用されないと信じ、不可能に見えることを可能にした。 オバマ大統領について「とても賢いが、絶えず何かがなぜ不可能なのか説明しようとする。 それが腹が立つ」と話した。

ジョブズはレコード盤のように枠にはまった生活を排撃した。 新製品が先に出した製品の市場を奪う自己蚕食効果も恐れなかった。 「私たちが自ら捕食しなければ他の誰かが私たちを捕食する」と声を高めた。 「生きるのに忙しくなければ、死ぬのに忙しくなるしかない」ということだ。 「私が顧客に何を望むかと尋ねれば、もっと速い馬と答えたはず」というヘンリー・フォードの言葉を引用しながら、市場調査もしなかった。 非常に自己中心的で気変わりも激しかった矛盾だらけ人物だった。 しかし生涯貫いた情熱と挑戦、革新に対しては、戦慄しながら頭を下げるしかない。
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