【噴水台】私は歌手だ
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2011.05.15 13:03
ワーグナーのオペラ「ニュルンベルクのマイスタージンガー」は題名の通り16世紀のドイツ・ニュルンベルクで開かれた歌合戦を取り上げている。この作品の第1幕には歌合戦の優勝者をどのように決めるかについての論争場面が出てくる。ところが集まったマイスタージンガー、すなわち職人階級出身の“歌名人”らは、「当然先輩名人らが認める歌手が本当の歌手」という従来の方式を主張する。
しかし主役の1人のハンス・ザックスは、「大衆の評価を導入しよう」と提案して議論を巻き起こす。名人らは一般人の耳を認めるよりは口を閉じてしまおうとしてこの提案を一蹴するが、最後には結局ザックスが正しかったということが立証される。「歌」が少数の聴衆のものから一般大衆のものへと変わっていく歴史的過程を圧縮して見せてくれる内容だ。