【グローバルアイ】すべての親に勇気をくれた辻井さん親子に感謝
私は聴覚障害児を育てている母親だ。 6年前に生まれてすぐ、先天性食道閉鎖症で手術を受けた息子は、退院前の検診で難聴という診断を受けた。 補聴器なしでは日常生活が不便だという医師の話を聞いた瞬間、すべてのものが崩れ落ちるような感じを受けた。 障害の程度はさておき、子どもの障害という現実を受け入れるのが容易ではなかった。 4カ月後、息子の小さな耳に補聴器を付けた日、私はまた涙を流した。 振り返ってみると、その時は子どもに対する痛ましい気持ちよりも、「障害のある子どもを自分がしっかりと育てていけるのか」という不安感がもっと強かったようだ。
1、2年が過ぎ、子どもはすくすくと育ってくれた。 最近は「ママ、愛してる」という子どもの一言にすべての心配事も忘れてしまう。 そうであっても突然、「子どもが後に自分を否定的に考えないだろうか」「障害者に過酷な社会でどのように育っていくのだろうか」という心配が胸に重くのしかかってきたりする。
今月初め米テキサス州フォートワースで開かれたヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝した視覚障害者の辻井伸行さん(20)の親も似ていたという。 辻井さんの母いつ子さん(49)は「後にこの世に生まれたことを後悔したり恨んだりしないだろうか」という心配が大きかったという。