帝政ローマ初期の貴族の休養地だったポンペイは、西暦７９年、ベスビオ火山が爆発して火山灰に覆われた。 １７００年の歳月が流れた後に発掘されたポンペイは、古代ローマの姿をそのまま現した。 特にある家の玄関の床を飾ったモザイクの模様には「Ｃａｖｅ　Ｃａｎｅｍ」と書かれていた。 ラテン語で「犬に注意」という意味だ。

犬が人と一緒に暮らし始めたのはこれより遥かに前だ。 現在までに発見された犬の化石のうち最も古いものは１万４０００年前に中東地域で発見されたものだ。 しかし犬と人が一緒に生活した歴史は３万年以上になるという主張も出てきた。 最近ベルギーのある洞窟で３万１７００年前の犬の化石が発見されたからだ。

化石から推定されるのとは違い、全世界５００種を超える犬種のＤＮＡを分析した学者らは、これら犬種はすべて１万５０００年前に東アジアに生息した狼の子孫だと推定している。 母を失った狼の子を連れてきて育て、懐かせたのが、現在の犬の先祖ということだ。

すべての動物のうち最初に家畜化された犬は、人に毛皮や肉を提供し、獲物を追跡したり荷物を運んだりする仕事を担うようになった。 人間のために犠牲になったりもしたが、進化という観点で見ると、犬は大きな成功を収めた。 狼は全世界で１０万匹水準に減り、絶滅危機に直面した。

人間と一緒に暮らすようになった犬はますます賢くなり、何が正しく何が悪いかという道徳観念までも身につけるようになった。 先日、オーストリアの学者らは犬が不公平な状況を認識して嫉妬心を表すこともある、という研究結果を出した。 前足を出すというような芸を同じようにしたが、横の他の犬はソーセージを受け、自分は受けられなかった時、ストレス反応を見せるということだ。

最近、チリ・サンティアゴで自動車が疾走する高速道路に跳び出して車にひかれた同僚を路肩に引きずり出した犬のＣＣＴＶ映像が公開され、感動を与えている。 高麗時代の全羅北道任実オ樹面（チョンラブクド・イムシル・オスミョン）の犬、朝鮮時代の慶尚北道亀尾（キョンサンブクド・クミ）の義狗塚の主人公が思い浮かぶ。 ２匹とも火災で危険に面した飼い主を助けるために、全身を水に濡らして火を消そうとして死んだ忠犬だ。今年５月の中国四川大地震では、８日間生き埋めになっていた飼い主をそばで見守り、結局、救助に導いた犬がいた。

休暇に出かける時に面倒だ、病気にかかって世話をするのが嫌になった、と言って簡単に犬を捨ててしまう人たちを恥ずかしく思わせる姿だ。