原油を加工して得られる揮発油の価格が原油よりも安い、という奇異な現象が１０日間続いている。

揮発油を販売するほど損失が出る状況が今後もかなり続く見通しで、精油業界は非常経営に備えている。 今年に入って揮発油・軽油など石油製品の輸出で利益を得た国内精油会社は、原料価格にもならない製品を販売するという最悪の状況を迎えた。

韓国石油公社によると、ドバイ産原油の価格は１４日、１バレル当たり４９．５１ドル、シンガポール現物市場の揮発油価格は４８．０７ドルを記録した。 国際市場で５日に相場が逆転して以来、その価格差が広がりつつある。 現在の価格差は１．５ドルで、一日１４万バレルの揮発油を生産する精油会社の場合、単純計算でも２１万ドルの損失が出ることになる。 以前にも何度かこうした価格逆転現象があったが、すぐに正常に戻った。 ０１年は一日で、今年８月には４日で逆転現象が解消された。

ＧＳカルテックスのカン・テファ次長は「今回の逆転現象は以前と質的に違うようだ。 世界的に揮発油の需要が急減していて、来年春まで続く可能性が高い」と心配した。

実際、景気沈滞は揮発油需要を大きく減らしている。 世界の揮発油消費の半分を占める米国の需要が昨年より６％ほど減少した。

需要は減っているが供給は増え、揮発油価格の下落を加速させた。 ８月の北京オリンピックに対応して揮発油を備蓄した中国が最近、備蓄分を輸出し始めた。

精油業界は単純精製マージンが赤字に転じ、揮発油を作るほど損失が出るとして、頭を悩ませている。 ＳＫエナジーの関係者は「この状態が続けば減産など非常経営に入るしかない。 まず高度化設備を最大限に稼働し、冬季にマージンが大きい軽油と灯油の生産に力を注いでいる」と伝えた。

揮発油に比べて税率がはるかに低い軽油が揮発油より高くなった場合、今年の夏のように生計型運転手の反発が強まり、復活の兆しが表れたディーゼル車市場に冷水を浴びせることになる。