‘ウォン安になれば輸入が減り輸出が増える’という常識は特に対日貿易では通じない。ウォンの対円相場は年初の100円=840ウォンから100円=1373ウォンと60%のウォン安となった。それでも日本製品の輸入は減るどころか膨らんでいる。今年に入り先月20日までの対日赤字は255億ドル。この勢いだと今年も昨年(299億ドル)に続き過去最大の赤字記録を更新する見通しだ。
韓国は日本製部品・素材で輸出品を作る構造だ。そのためウォン安になっても輸入が増えるのだ。一方では韓国製消費財が価格の安い中国製に押され日本市場での立地が狭まっている。こうしたサンドイッチ状態を克服しようとするならどのようにすべきか。日本の技術者OBを迎え入れる企業、すき間市場であるオンラインショッピングモールを攻略する企業の例からヒントを得てみよう。
◆日本からの輸入を減らすなら=仁川にある油圧機器専門会社、コパック・エンジニアリングの工場。細い鉄の棒を機械に入れると加工段階を経て豆粒ほどの大きさの油圧バルブが出てくる。これはこの会社が作る油圧パワーパックに使われるコアパーツだ。1カ月に1億ウォン相当をすべて輸入していたが、最近独自開発に成功した。輸入価格の10分の1にもならない材料費で自社生産する。同社のキム・スング代表は、「油圧部品の開発ノウハウを持つ日本の技術者の指導で5カ月で開発した」と話す。70歳になる技術者OB、ナカムラヨシオさんが主人公だ。4月からこの工場に来て技術指導をしてきた。彼は「韓国は経験が豊富な技術者が日本よりはるかに不足している。特に溶接・熱処理のような分野が弱い」と指摘する。