世界文学史上、ゲーテの『若きウェルテルの悩み』ほど大きな反響を呼んだ小説は見られない。
1774年に発表された小説のストーリーは、他人のフィアンセであるロッテを愛したウェルテルが拳銃自殺で命を終えるというものだ。 当時25歳だったゲーテ自身の失恋体験に、親しい友人の自殺を関連づけて書いた。 しかし作品の主題は、因習と体制、貴族支配に反抗する若い知識人の熱情と挫折だった。 小説は5カ国語で出版され、「ウェルテル熱気」と呼ばれる流行でヨーロッパを席巻した。 男性は黄色いベストとズボン、青いフロックコート、褐色ブーツと丸いフェルト帽子など、ウェルテルの衣装をして歩いた。 女性は袖と首の部分に赤い線が入った白いワンピースを着て、ウェルテルという名前の香水をつけた。 問題は、模倣自殺も若者の間で流行のように広まったという点だ。 拳銃自殺をした若者の机の上からも、川に飛び込んだ若者のポケットの中からも、この小説が見つかった。 小説で富と名声をつかんだゲーテも「この小さな本の効果は大きい。 怪物のようでもある」と慨嘆した。