【時視各角】「コリアファースト」外交

【時視各角】「コリアファースト」外交

2019年06月05日09時44分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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  ハンガリーのドナウ川は悲劇だ。ヨハン・シュトラウス2世はこの川を見て『美しく青きドナウ川』という名曲を作曲したとしても、私たちにとってはただ悲しみの川にすぎない。事故から1週間が経とうというのに捜索にはこれといった大きな進展はない。流速と水位が原因だというが、単にそれだけではないはずだ。事故収拾に対処する姿勢が根本的に違う。ハンガリーのダイバーは安全が確保されなければ水に入らない。韓国のダイバーがセウォル号惨事の時に命をかけて海に飛び込んだのとは違う。ハンガリーATVが「韓国人は非常に速いスピードで暮らしている。韓国は惨事が発生した時、結果を導き出すために相当な努力を傾ける」と分析したことが核心をついている。私は他の人々が何と言おうが、韓国のこのような「機敏な対応」こそ最上の競争力だと思う。

  ところがこれが外交ではまったく違う状況だ。青瓦台(チョンワデ、大統領府)の顔色を見ながら「これは違う」と思ったら身じろぎもしない。そして放置する。対日外交から見てみよう、昨年の強制徴用大法院判決以降、韓国政府は8カ月間、日本の対話の呼びかけに一切応じなかった。何かそれなりのビジョンと所信でもあるからだと思っていた。ところが今になって米国と世論の圧迫を受けて、あたふたと20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)で韓日首脳会談をしようと駆け寄る。会っても日本が「これからは仲良くしよう」と言うと思うだろうか。時機というものがある。それでこそ交渉力も出る。日本は航空母艦と同じだ。方向を定めるまでに時間はかかるが、一度方向を決めたら恐ろしいくらい突進する。

  中国とも同じだ。韓国が曖昧に対応したせいでTHAAD(高高度ミサイル防衛体系)報復が2年以上にわたって進行中だ。それだけだろうか。中国が外交欠礼を繰り返して粒子状物質に責任がないと言ったことに対し、改まって正面から抗議したという話を聞いたことがない。外交に主人意識がないから、ただ次に、後の人に先送りする。だからといって中国が北朝鮮非核化に一肌脱ごうと出ることもない。対米外交ではトランプを引きつけた安倍の繊細さも、ジョージ・W・ブッシュを感動させた盧武鉉(ノ・ムヒョン)の柔軟さも見当たらない。実現の可能性は置いといても、戦略的に気概と機知にあふれる建議をする参謀が見えない。せいぜい米国に提示したカードが11年前まで使っていた「対北朝鮮食糧支援」だ。もっとも、米国を少しでも知っているという外交官のほとんどは辺境に追いやられて何も言えないが。

  イスラエルの外相だったシモン・ペレスが生前にイスラエル建国の父と呼ばれるダヴィド・ベン=グリオン初代首相にこのように尋ねたという。「首相、なぜこんなに問題の多いモーシェ・ダヤン(外交・国防長官を歴任)をいつも近くに置いているのですか」。ベン=グリオンはこう答えた。「教えてやろうか。ダヤンには100個のアイデアがある。そのうち95個は危険だ。そして3個は(現実に)合わない。だが、残り2個があきれるほど素晴らしい」。ダヤンの創意的発想、そしてそれを選んで採択した指導者ベン=グリオンの鋭い洞察力のおかげでイスラエルはアラブ国家との「6日戦争」で大勝をおさめて領土を3倍に広げた。今、韓国にはそのようなダヤンとベン=グリオンはいるだろうか。

  2~3歩遅い、雨にぬれた落葉のようにひれ伏している韓国の外交危機の頂点には外交哲学の不在がある。強大国に囲まれて北朝鮮と対峙している韓国には正しい優先順位設定が必須だ。金大中(キム・デジュン)元大統領はそれを「韓半島(朝鮮半島)平和」に置いた。残りの韓日、韓中、さらには北朝鮮問題も手段と考えた。手段に過ぎないから「感情が傷つく」「私の考えとは違う」という理由で切り捨てることもなかった。徹底した実利中心の国益外交だった。今の文在寅(ムン・ジェイン)政府の外交はどうか。優先順位は「北朝鮮」だ。すべての周辺国外交は手段ではなく目的で接近する。目的に合わなければ近付かない。だから相手方の不信は深くなって関係は複雑化する。国益は蒸発する。キッシンジャーは「米国には永遠の友人も、永遠なる敵もない。国益だけが永遠だ」と言った。それは韓国も同じだ。

  金玄基(キム・ヒョンギ)/ワシントン総局長
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