相手を倒さなければならないプロボクサー。しかしボクサーの本当の相手は自分自身だ。 ３０歳代半ばまで自分との凄絶な戦いを繰り広げてきた崔堯三（チェ・ヨサム）も例外ではなかった。

意識を失ってから４日目、生死をさまよう崔堯三の日記が２７日見つかり、周囲の人々の心を痛ませた。

今年夏から崔堯三が書いている日記には世界チャンピオン再挑戦に対する恐れと希望、そして人気が低下したボクシング選手としての挫折が書かれている。

「試合までもうすぐだ。また敗将になるのか」「集中できない。すべて終えてしまいたい。私は人生で多くの過ちを犯してきたようだ」「限界を感じている。あまりにも長い間休みすぎた。自信がなくなっている。明日が怖い」「今日は眠れないようだ。感覚で生きている」などの文からは、若くない年齢で世界チャンピオンに再挑戦するボクサーの率直な心情をうかがうことができる。

独身で長い間暮らしてきた孤独感も表れている。 「私を捨てて行った人たちが何度も思い浮かぶ。 ボクシングも私を捨てるのか」「私の胸にはあまりにも傷が多い。 治療を受けなければならないのに…」「孤独が怖い。あまりにも。これからも孤独でなければならないのか…」

しかし彼は心の隅に希望も抱いていた。 崔堯三は「試合まであと４０日だ。崖っぷちの勝負だと思っている。試合で押されれば死ぬ」「必ずできる。（亡くなった）父が助けてくれるはずだ。行け、あの孤独な道へ、自分の夢がある場所へ行け、崔堯三！」と自らを奮い立たせていた。

崔堯三が夢見る人生はチャンピオンベルトの先にあった。 今年８月のモンゴル合宿中には「あの草原の上にかわいい家を建てて、愛する人と最も平凡な暮らしをしたい。今は血の臭いが嫌だ。明日が怖い」という素朴な希望を表した。

この日記は、崔堯三の弟でありマネジャーのチェ・キョンホＨＯスポーツマネジメント代表が２７日に偶然見つけたものだ。 崔代表は「兄の家に書類を探しに行ったところ、偶然日記を見つけた。 練習日誌を書いていることは知っていたが、こういう日記を書いているとは知らなかった。 胸が痛む」と伝えた。

崔堯三の弟はソウルで暮らしているが、未婚の崔堯三は議政府（ウィジョンブ）で一人で暮らしてきた。