新ミレニアムが始まるとして沸いた2000年初めのヒマラヤから帰ってきたばかりの小説家、金美珍(キム・ミジン)が、目をそっと閉じて合掌しながら「ナマステ」と言った。原始の時間、完璧な自由の空間で会ったネパ―ル人の挨拶の言葉だと語った。「あなたの中にいる神に敬拝する」という意味だと。「あなたと私の霊魂は同じです」という解釈もある。とにかく自分たちが信じる絶対者に対する恭敬心で相手にする挨拶の言葉は、重みがあり純朴だった。
2002年にナマステを再び思い出させてくれた人は、チャンドラ・クマリ・クルンというネパール女性だ。産業研修生としてソウルに来た彼女は1993年、みずぼらしい格好と不慣れな韓国語のため行旅病者と誤認され、精神病院に閉じ込められて、6年余り忍辱の歳月を送った。偶然、環境団体(草花世界のための会)に発見され、解放されて帰国した。彼女は懺悔寄付を集めてきた草花会員に「自分の髪の毛の数より多くを受けたこの恩恵を決して忘れない」とし、「ナマステ」を連発したという。恥ずかしい気持ちに「ナマステ」を呟かずにはいられなかった。