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「尊重のない韓国社会は『イカゲーム』のようだ」…哲学者ハン・ビョンチョルの警告

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版 2026.11.03 13:14 Googleで中央日報を読み逃さない
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2012年に著書『疲労社会』(文学と知性社)で世界的な反響を呼んだドイツ在住の哲学者ハン・ビョンチョル氏が、新刊『尊重のない社会』(ガンディ書院)を携えて韓国を訪れた。『透明社会』(2014年)、『痛みのない社会』(2021年)、『不安社会』(2024年)など、現代社会の病理的な兆候を独自のアフォリズム的な文章で診断してきた一連の著作の延長線上にある。

先月28日、ソウルの三成(サムソン)駅近くにあるホテルの喫茶店で会った際、ハン氏は「秩序ある社会は『人々の相互尊敬(Achtung)』を前提としている」と切り出した。著書の冒頭で引用したジョン・ロールズの『正義論』にも通じる問題意識だ。

 
--現代社会を「尊重のない社会」と診断した。

「相互尊敬は、自己尊敬があってこそ可能になる。自己肯定感がなかったり、自分を嫌悪したりする人は、他者も軽蔑する。ところが、新自由主義の成果主義社会では、人間の尊厳が個人の上げた成果や金銭、地位などによって評価される。人々は尊重や地位を得るために際限のない競争へと追い込まれ、その結果、社会全体が『イカゲーム』(ネットフリックス)のようになってしまった」

--『イカゲーム』のようだというのは、どういう意味か。

「他者を排除しなければ生き残れない社会では、他者に対する『注意(Attention)』が失われる。他者を尊重し、その声に耳を傾けてこそ民主主義の共同体が成立するが、そうした共同体の絆が破壊されてしまった。民主的な対話と妥協を可能にするには、ハーバーマスが述べたように『意見』と『アイデンティティー』を切り離さなければならない。この2つを同一視するから、反対意見を自分への侮辱と感じる。国会を見てほしい。共同体を育むどころか解体し、市民ではなく群衆(mob・怒れる群衆)を生み出している。韓国だけでなく、ドイツも同じだ」

--著書では、そうした扇動家型の政治家としてトランプ米大統領に言及した。

「彼には守るべき道徳的規範というものがない。真理さえも使い古した履物のように捨て去る。ホメロスの『オデュッセイア』で注目すべきなのは、ペネロペ(オデュッセウスの妻)に象徴されるフィデリティー(fidelity、忠実・貞節)だ。そうした約束や献身(commitment)が社会を安定させる。それがない社会では未来が不確実になる。真理に代わって情報(インフォメーション)ばかりが飛び交い、何が虚偽なのか見抜く間もなく、急速に広がり消費されていく。デジタル情報が氾濫する中で、個人は疲弊し、憂鬱になり、孤独を感じるうえ、尊重も失われる」

--それでも希望を語ることはできるのか。

「希望は、互いを尊重し、適度な距離を保つことから生まれる。自由とは何か。奴隷が主人からむちを奪い、自分で自分を打ち、自らを搾取するなら、それが自由であり解放なのか。自由(freedom)と友情(friendship)は同じ語源に由来する。真の自由は友人と一緒にいるときにこそ可能になる。人との結びつきがない状態は自由なのではなく、むしろ不安をもたらすだけだ。現代人が絶えず自分の身を委ねられるものを探すのはそのためだ。一種のドーパミン社会だ。だから来年出版する本は『中毒社会』だ」

1959年生まれのハン氏は、高麗大学に入学して金属工学を専攻したが、「意味のある人生について思索することが、最も意味のある人生だ」と考え、ドイツに渡って哲学を学んだ。21世紀の問題作の一つとされる『疲労社会』の出版権が35カ国に販売されたのをはじめ、主な著作がさまざまな言語に翻訳されている。昨年には「スペインのノーベル賞」と呼ばれる「アストゥリアス王女賞(Princess of Asturias Award)」のコミュニケーション・人文科学部門の受賞者に選ばれた。

ドイツのカールスルーエ造形芸術大学とベルリン芸術大学で教鞭を執った後、定年退職した。最近は毎日散歩をし、ピアノを弾いて過ごしているという。「1日に5文ほど、思い浮かんだ考えを書き、それをつなぎ合わせると毎年1冊の本ができる」と語った。これまでに執筆した本の中で、韓国人が必ず読むべき本は何かと尋ねると、ハン氏は「全部だ。韓国は本当に最も深刻な病を抱えている」と答えた。

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    10時間前
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    新刊『尊重のない社会』を携えて韓国を訪れた、ドイツ在住の哲学者で元ベルリン芸術大学教授のハン・ビョンチョル氏が先月28日、中央日報のインタビューに応じ、現代社会の病理的な兆候について語っている。クォン・ヒョクジェ写真専門記者
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