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【時視各角】フランスが燃える理由

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2026.10.22 12:04
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フランスが燃えている。仮面や覆面をした群衆が街をかき回している。あちこちで炎が上がる。高級ブランド店は破壊され、略奪の跡が残り、無残な状態だ。映画のワンシーンでも人工知能(AI)で捏造された映像でもない。フランスの都市中心部で起きている現実だ。

国民を暴徒にした主な原因の一つが財政危機だ。財政問題で教育や福祉、行政のあらゆるところに綻びが生じると、人々は街頭に飛び出した。フランス国立統計経済研究所(INSEE)が公表した資料には惨憺たる数字が並んでいる。フランス政府は昨年だけで1525億ユーロにのぼる財政赤字を計上した。国内総生産(GDP)の5.1%に相当する数字だ。政府の支出(1兆7141億ユーロ)が税収などによる収入(1兆5616億ユーロ)を「当然」上回ったからだ。

 
昨年だけではない。フランス政府は1975年以降、一度も財政黒字を達成していない(フランス議会報告書)。こうして3兆4605億ユーロにのぼる債務が生じた。韓国ウォンで5100兆ウォン(約608兆円)を超える。今年4-6月期末には債務残高がGDPの119%となった。フランスの国民と企業が1年間に稼いだ金額(GDP)をすべて注ぎ込んでも返済しきれない規模ということだ。

だからといってフランス国民の税負担が軽いわけではない。フランスの租税負担率は2024年時点でGDP比43.5%に達する。稼いだ金の40%以上を税金などとして徴収されるということだ。経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均34.1%を大幅に上回る。韓国(25.3%)とは比較にならない水準だ。

過去50年間に少しずつ累積してきた借金のブーメランを今の国民が受けている。理不尽に感じるのも当然だ。人々が街頭に出るのも無理はない。

こうした状況を正確に予見した本がある。フランスの政府債務残高の対GDP比が20%にも満たなかった1977年に出版された、ジェームズ・ブキャナンとリチャード・ワグナーの著書『赤字の民主主義』だ。2人はケインズ主義を批判的に論じながら政治が招く財政破綻を予告した。

本書で紹介されているジョン・メイナード・ケインズの財政原則を単純化すると、次のようになる。景気が冷え込んでいるときは赤字を覚悟してでも資金を投入し(政府支出>収入)て景気を温める。反対に景気が過熱しすぎているときは、資金の流れを引き締めて(政府支出<収入)景気を冷まし、国の資金を蓄えておく。

ここに政治が介入すると問題が生じる。景気が悪いときに財政赤字を出すのは簡単だ。問題は好況のときだ。政府は黒字を積み上げて次の危機に備えなければならないが、政治がそれを阻む。支出を減らし、税金をさらに徴収することを好む国民はいないからだ。目先の選挙に勝つことが重要であるため、政府は気前よくお金をばらまき続ける。結局、赤字は脹れ上がり、その借金の返済は将来に先送りされる。『赤字の民主主義』はこの状況を一文で要約している。「目に見えないと、意識からも遠ざかる(out of sight, out of mind)」。

時差はあっても誤差はない。50年間にわたり目を背けてきた代償をフランス国民は払っている。今回も問題は政治だ。マクロン仏大統領はすでに力を失っている。右派も左派もデモ隊の暴動を鎮めて財政危機を打開するために知恵を出し合うどころか、それぞれの支持基盤を固めるために利用しようと躍起になっている。「エリゼ宮を掌握する絶好の機会」(ウォール・ストリート・ジャーナル)という計算しかない。

9000キロ離れた遠い国の話ではない。韓国政府も世界金融危機直前の2007年に6兆8000億ウォンの黒字(管理財政収支基準)を計上したのが最後だった。その後、政府の支出が収入を下回ったことは一度もない。昨年まで18年連続の赤字だった。半導体景気の好況で昨年より税収が100兆ウォン以上増えるが、李在明政権は赤字財政を組んだ。赤字からの脱却までは望まない。税収が好調なときでさえも借金を減らそうとする努力がほとんど見られないのは無責任そのものだ。このままでは燃えるフランスはそれほど遠くない韓国の未来となる。

チョ・ヒョンスク/経済部長

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