広帯域メモリー（ＨＢＭ）用半導体装備市場でＳＫハイニックスと韓美（ハンミ）半導体、ハンファセミテックの３社の対立が続く中で、業界は今月中に行われるＳＫハイニックスの新規装備発注に注目している。ＳＫハイニックスの選択により対立の行方が変わるとみられるためだ。

半導体業界によると、ＳＫハイニックスは早ければ今月中に熱圧着装備のＴＣボンダーの新規発注を検討している。ＴＣボンダーはＨＢＭ生産に必須の装備で、高温と圧力を使ってウエハー基板にＤＲＡＭ半導体を垂直に積み上げる役割をする。今年のＨＢＭ生産可能量がすでに埋まっているＳＫハイニックスが押し寄せる注文をこなすにはＴＣボンダーを追加で購入しなければならない状況だ。

韓美半導体は２０１７年からＳＫハイニックスとともにＴＣボンダーを開発して独占納品してきた。世界のＴＣボンダー市場で韓美半導体のシェアは７０％ほどで１位だ。ＳＫハイニックスがエヌビディアにＨＢＭ供給を一手に引き受けたことで韓美半導体もともにＨＢＭ装備市場での立地を固めた。

ＳＫハイニックスはこれまで第２のＴＣボンダー装備調達先を物色してきた。製造業で必須装備を独占供給で調達するのはリスクがあるためだ。ハンファセミテックのほかにもシンガポール企業ＡＳＭＰＴの装備に対して品質テストを実施し、３月にハンファの装備１２台、４２０億ウォン分を調達することに決めた。契約のニュースが出るとハンファセミテックの親会社ハンファビジョンの株価は１２日に２３％ほど上昇した。

韓美半導体はすぐに反発した。ＳＫハイニックスのＨＢＭ生産ラインに常駐する５０～６０人の人材を撤収させる強硬姿勢を見せた。ＴＣボンダー価格を約２５％引き上げるよう要求し、無料で提供していた装備維持メンテナンスも有料転換を通知した。

ＳＫハイニックスが自分たちと訴訟戦を行っている競合相手であるハンファセミテックを新たな調達先として採択したことに対する不満を示した形だ。

韓美半導体はハンファセミテックに転職した元社員に対し不正競争行為禁止訴訟を提起して１審と２審で勝訴し、１２月にはハンファセミテックを相手取り特許侵害訴訟も提起した状態だ。

激しい神経戦が繰り広げられるほどＴＣボンダー市場の成長性は大きい。ＪＰモルガンは２０２４年に４億６１００万ドルだったＨＢＭ用ＴＣボンダーの市場規模が２０２７年には１５億ドルと３倍以上に大きくなるものと予想した。

業界はＳＫハイニックスが近く韓美半導体に発注する量と価格によって対立が続くかが決まるとみている。長期にわたり協力関係を維持してきた両社が関係を断つのは両社ともに負担となる構造だ。

だがＳＫハイニックスが韓美半導体の要求を全く受け入れないならば韓美半導体は最近海外進出に力を注いでいる顧客企業多角化戦略を加速化するものとみられる。

これに対しハンファセミテックのＳＫハイニックスへの供給元としての役割はもっと大きくなるかもしれない。ハンファセミテックは最近ＳＫハイニックスの製造使用便宜性を高める装備開発に集中しているという。１日には次世代半導体装備開発専従組織も新設した。

ＳＫハイニックスは「まだ協議中で決定された事項はない」と話した。業界関係者は「事実この市場は半導体業界の強者であるＡＳＭＬの装備（極端紫外線露光装備）ほど参入障壁が高いものではない。ますます装備企業間の競争は激化するだろう。現在世界１位である韓国のＨＢＭ競争力を海外に奪われない方向で企業間競争と協力関係がなされなければならない」と話した。