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【コラム】日本が今回は「円執着」から抜け出すか

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2024.07.15 13:12
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日本の通貨政策はこの40年間、円に対する国家的執着により大きく影響を受け、たびたび歪曲された。

私は日本銀行に入行した1986年から20年間の資産バブルとその後の金融危機の中で損傷した貸借対照表整理、すなわち不良化した企業と金融機関の財務状態を改善し、正常化する厳しい過程を目撃した。日本のバブル経済はドル・円為替相場変動に起因した。過度な通貨緩和は1985年のプラザ合意後の急激な円評価切り上げに対する反応だった。バブルのまた別の原因は無秩序な金融自由化だった。米国当局は「金融自由化の遅延が円安を招いた」という主張を掲げて日本に金融自由化を強要した。

 
貸借対照表調整は2000年代中盤に終了したが、日本経済が内需不振の中で輸出主導成長に依存したため当局は輸出競争力を弱める強い円を懸念し続ける。2013年に当時の黒田東彦日本銀行総裁は一時1ドル=80円まで達した円高を解消するため非正統的通貨緩和政策を実施し、市場はこれを肯定的に受け入れた。2016年に導入されたマイナス金利政策は欧州中央銀行(ECB)との通貨評価切り下げ競争の脈絡で最もよく理解することができる。すなわち競争対象である他の経済圏より通貨価値を低くして経済を活性化しようとする努力だった。

これまで植田和男日本銀行総裁は過度な通貨緩和を正常化する方向で中央銀行を導くのに相当な成功を収めた。逆説的にも、今後数年間で2%のインフレ目標と通貨正常化を達成するのにまたも円が障害になっている。今回は円の通貨切り下げが問題だ。

弱い円は日本の国内需要が振るわない中で費用引き上げによるインフレが早く上昇するスタグフレーションと類似の状況に陥る可能性を高める。円切り下げは海外事業に従事する大企業にだけ利益になる。労働力不足による圧力が増加しているが、多くの企業は輸入費用上昇によりインフレ速度に合わせて賃金を引き上げることが難しい状況だ。

日本銀行は円安を緩和するために通貨緊縮を加速しなければならないという途轍もない圧力を受けている。しかし日本銀行は通貨に対する国家的執着に過剰に反応する失敗を繰り返してはならない。米国の通貨政策が支配する現在の外国為替力学に影響を及ぼす可能性が限定的であることを考慮する時、日本銀行は政策正常化の時期を慎重に考慮して成長とインフレ見通しに焦点を合わせなければならない。

長井滋人/オックスフォードエコノミクス在日代表、元日本銀行国際局長

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