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トランプ氏が拳振り上げる写真、米大統領選挙揺さぶる…襲撃後「当選可能性70%」(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2024.07.15 07:42
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「パン、パン、パン」

13日午後6時15分、米ペンシルベニア州バトラーで行われたトランプ前米大統領の野外遊説場。トランプ氏が違法移民問題を取り上げ、「(国境で)どんなことがあったのか一度見てみよ」としながら背を向けた途端に数発の銃声が相次いで鳴った。演壇の下に体を隠したトランプ氏の右耳からは血が流れ、聴衆の悲鳴の中で行事会場は騒然となった。

 


舞台に飛び上がったシークレットサービス要員に囲まれたトランプ氏は退避する直前「ちょっと待て」という叫びとともに頭を上げると、拳を振り上げて見せ「戦おう」と3回叫んだ。健在を知らせると同時に、支持者の「戦闘意志」を鼓舞するメッセージだった。遊説場の支持者は「USA」を連呼して激しく呼応した。

演説舞台から120メートル離れた工場の屋上で銃を撃った犯人はシークレットサービス要員によって射殺された。米連邦捜査局(FBI)は銃撃犯がペンシルベニア出身の20歳の白人の男だと発表し、ワシントン・ポストなどはトーマス・マシュー・クルックスという名前のこの容疑者が共和党登録党員だと伝えた。FBIは今回の事件を「トランプ氏に対する暗殺未遂」と規定し、犯行動機を調査中だと明らかにした。

◇米国社会に大きな衝撃…「分断した政治の現住所」

有力大統領候補であり前大統領を狙った今回の暗殺未遂に米国は衝撃に包まれた。この日トランプ氏の所属政党だけでなく民主党とバイデン大統領も「政治暴力」を強い語調で糾弾した。バイデン大統領は事件直後に緊急国民向け演説を通じ「彼(トランプ氏)が無事で幸い。米国でこうした種類の暴力が立つ場所はない。おぞましい」と話した。民主党のハキーム・ジェフリーズ下院院内代表は「米国は民主主義の国。いかなる種類の政治暴力も絶対容認できない」と明らかにした。

政治議論が「政治暴力」に変質し民主主義を脅かす状況にまでなった米国の現住所を現したという指摘が出る。デニス・ハスタート元下院議長の補佐官で共和党事情に明るい総合コンサルティング企業DGAパートナーのジョン・ラッセル氏は中央日報に「両極端に分かれた米国の政治システムの現住所が赤裸々に現れた。政治という巨大談論の場に発生した流血事態は米国建国の父が予想した政治的健全性が間違いなく破壊されたことを物語る事件」と話した。

具体的な経緯や背後関係はまだ確認されていないが、極端に二極化した「憎悪・嫌悪・分裂の政治」が引き金を引いたようだとの分析が出ている。アイオワ州立大学のステファン・シュミット名誉教授(政治学)は電子メールでのインタビューで、「政治的分裂が深く、対立と二極化が激しい時に暴力発生の可能性がより大きくなり民主主義基盤を揺さぶる。今回の大統領選挙レースで起きた暴力的な泥沼戦が銃撃犯の犯行動機に影響を及ぼしたかもしれない」と推定した。

◇「憤怒の時代…最も危険な時期」

ジョージ・ワシントン大学のジョナサン・ターリー教授教授も政治専門メディア、ザ・ヒルへの寄稿を通じ、「この数カ月間に政治家とメディア、評論家は相手陣営に対し乱暴な言葉を吐き出し、憤怒で理性を失った人たちはこうした政治的修辞に正当性を見出したりもする。私たちは『憤怒の時代』に生きており、いまが歴史上最も危険な時期かもしれない」と警告した。

韓国の専門家らも政治二極化の危険性を指摘した。国際政治学会会長を務めるカトリック大学国際学部のマ・サンユン教授は中央日報との通話で「政治的二極化は韓国をはじめとして世界的な流れになっているが米国が特に目立つ。単純な分裂を超え、憎悪と憤怒の感情と結びつき今回のような政治テロの形態で現れる点で深刻性が大きい」と指摘した。慶熙(キョンヒ)大学政治外交学科のソ・ジョンゴン教授は「嫌悪と憤怒を利用して支持率を引き上げたトランプ氏が分裂の政治の被害者になってしまったアイロニーな状況」と指摘した。

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