英国の航空会社に勤務していたアルジェリア出身の操縦士ロトフィ・ライシ氏は、米同時テロ発生から10日後の昨年9月21日、英国警察に逮捕された。調査中に知らされた逮捕理由は、彼がペンタゴンを攻撃したテロ犯らに飛行機操縦技術を教えたということだった。アラブ出身であるうえ、皮肉にもテロ犯と同じアリゾナ飛行学校を1997年に卒業したという事実のため、容疑をかけられたのである。ライシ氏は7カ月間を刑務所で過ごした後、無罪判決を受けて解放された。
米同時テロ以降、ライシ氏のように悔しい思いをした容疑者が世界中で続出した。事件直後、米司法当局はターバンを巻いたりひげを伸ばしたアラブ人やイスラム教徒を次々と逮捕した。「テロとの戦争」を口実に強行された人権侵害事例は数え切れないほどだ。