パレスチナの武装組織ハマスのイスラエル侵攻で触発したガザ戦争が６カ月目に入った中、イランがイスラエルに対する直接攻撃を示唆した。イランの攻撃は第５次中東戦争に飛び火する可能性があり、国際社会が注視している。



６日（現地時間）の米ＣＮＮ放送とニューヨークタイムズ（ＮＹＴ）などによると、イラン革命防衛隊（ＩＲＧＣ）はこの日の声明で「（イスラエルに対する攻撃は）国家的な要求」と強調した。イラン軍のバゲリ参謀総長は「敵（イスラエル）に最大限の被害を与えて自らの行動を後悔させる」とし「攻撃時点と場所、方法はイランが決定する」と警告した。

イスラエルのガラント国防相は７日、イスラエル軍参謀陣と状況評価会議の後に声明を出し、「イスラエルはイランを相手にいかなる状況にも対応する準備を終えた」と明らかにした。

その間、イランはハマスのほか、レバノンのヒズボラ、シリア政府軍など、いわゆる「抵抗の枢軸」を支援する形でイスラエルと間接的に対抗してきた。米国とイスラエルもハマスとイエメンのフーシ派に対しては容赦なく攻撃しながらも、これらを支援するイランには直接打撃せず、紛争の拡大を自制してきた。

しかし１日、シリアの首都ダマスカスにあるイラン領事館がイスラエル軍の爆撃で破壊され、イランとイスラエルの全面衝突が可視化した。この攻撃でＩＲＧＣ司令官のモハマド・レザ・ザヘディ准将などイラン将校が少なくとも７人死亡し、イランは「抑止力創出」（敵が攻撃で得た利益より報復で受ける損害が大きいことを悟らせる戦略）レベルでイスラエルに対する直接対応を決定したと、ＮＹＴは伝えた。イランはダマスカス攻撃に対する主な責任は米国にあるとも警告した。またイランのイスラエル報復攻撃に関連し、米国に「退くべき」として介入しないよう強調した。

イランの報復攻撃時期に関してはラマダン「力の夜」が有力という報道が出ている。イスラム諸国は現在ラマダン期間中だ。「力の夜」はこのラマダン２７番目の夜で、１０日前後を意味する。ＣＮＮも５日、バイデン政権の関係者を引用し、「早ければ来週にも大きな攻撃があるかもしれない」と報じた。

米国とイスラエルは現在、イランの攻撃に対応して超警戒態勢を発令した状態だ。イスラエルは軍人の休暇を中断し、防空網運用予備軍を追加で動員するなど万が一の事態に対応している。

海外メディアは紛争拡大防止に総力を挙げているバイデン政権がイランとイスラエルの衝突に積極的に介入する公算は大きくないとしながらも、イランの攻撃の強度とイスラエルの対応によっては全面戦争に飛び火する可能性も排除しがたいとみている。ＣＮＮは「イランとイスラエルの直接衝突はガザ地区でのイスラエル－ハマス戦争をさらに広い地域に拡大し、中東全体を葛藤に向かわせる可能性が濃厚だ」と伝えた。

６日、イスラエルの首都テルアビブでは、デモ隊１０万人がネタニヤフ政権の退陣と早期総選挙を要求する大規模なデモを行った。国連人道問題調整事務所（ＯＣＨＡ）によると、ガザ戦争では先月まで１７５日間に少なくとも３万２６２３人が死亡し、７万５０９２人が負傷した。