米大統領選挙で「暴言」問題が選挙の主要争点に浮上した。自分が当選しなければ米国は「血の海（ｂｌｏｏｄ　ｂａｔｈ）」になるというトランプ前大統領の発言が火をつけた。



これに先立ちトランプ氏は１６日（現地時間）、オハイオ州での選挙演説で外国産自動車に高率関税をかけると話しながら「私が当選しなければ血の海になるはず」と述べた。続いて「私が勝利しなければ他の選挙はないはず」とも語った。トランプ氏は不法移民者については「彼らを『人』と呼べるのか分からない」とし「動物（ａｎｉｍａｌ）」と表現した。

トランプ氏の熱烈支持者らは暴言に近い演説に歓呼したが、「トランプリスク」を核心選挙戦略とするバイデン大統領側はこれを大々的な反撃のきっかけにした。

バイデン氏はＸ（旧ツイッター）にトランプ氏の映像と共に「この人がまた１月６日（２００１年米議会議事堂襲撃事件）を望むのは明らかだ。しかし米国国民は彼にまた敗北を抱かせるだろう」と投稿した。「血の海」は、選挙結果に従わず発生した２０２１年の議会暴力事態の再発を予告した言葉という主張だ。

１８日、バイデン大統領側はトランプ氏の該当発言を強調した広告を制作して公開した。４５秒の新しい広告にバイデン氏は登場しない。「血の海」発言をはじめ、これまで物議をかもしたトランプ氏の各種発言ばかりを繰り返し露出させた。ここには白人優越主義集会、ナチス旗、１・６事態を主導した「プラウドボーイズ」を支持する発言などが含まれた。

バイデン氏はこの日もＸに該当映像と共に「トランプは自身がどんな人物かを何度も見せた」とコメントした。こうした発言が突発的な失言でないということだ。実際、バイデン陣営のコミュニケーションディレクターのマイケル・タイラー氏はＭＳＮＢＣに出演し、「今回の発言は数年間見てきたものと同じ修辞」とし「まさにトランプが誰であるかを見せている」と主張した。

元下院議長のナンシー・ペロシ連邦下院議員（民主・カリフォルニア州）も「私たちはこの選挙に勝たなければいけない」とし「なぜなら彼は血の海を予告しているため」とＣＮＮとのインタビューで明らかにした。

波紋が広がると、トランプ氏は自身のトゥルースソーシャルに「国をつぶすフェイクニュース媒体と彼らの民主党パートナーが私の『血の海』用語の使用に驚いたふりをしている」とし「バイデンの自動車輸入が米国内の自動車産業を殺しているという意味だった」とコメントした。

共和党も「メディアが難癖をつけようと嘘をまき散らしている」（スティーブ・テインズ上院議員）、「前大統領に対するメディアの攻撃は話にならない」（Ｊ・Ｄ・バンス上院議員）と援護を始めた。

しかし最近の世論調査でトランプ氏はバイデン氏に追撃を許し、勝負は事実上「原点」に戻ったという分析が出ている。

英エコノミストが米統計分析サイト「ファイブサーティエイト」に掲載された大統領選挙の世論調査平均値推移を分析した結果、今月に入って２人の支持率は４５％で並んだ。昨年９月を過ぎてトランプ氏が逆転に成功したが、バイデン氏が再逆転する流れに変わる可能性があるということだ。

こうした世論変化について政治専門サイトのポリティコは「トランプ氏はヘイリー氏の撤退から現在まで接触していない」とし、トランプ氏が熱烈支持層「ＭＡＧＡ」（Ｍａｋｅ　Ａｍｅｒｉｃａ　Ｇｒｅａｔ　Ａｇａｉｎ、、米国を再び偉大に）に依存し、外縁拡張に失敗していると指摘した。

実際、共和党の選挙戦で最後まで競争したニッキー・ヘイリー元国連大使は結局、トランプ氏に対する支持を宣言せず、トランプ氏と共に１期目を率いたマイク・ペンス元副大統領までが「トランプ氏は４年間扱った保守的議題と相反する議題を追求している」として支持しない立場を公開的に明らかにした状態だ。