マスク氏だけが静かに微笑む米自動車ビック３の同時スト…ヒョンデには微妙な影響
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.09.29 10:19
米国３大自動車メーカーのフォード・ステランティス、ＧＭの労働者が加入した全米自動車労組（ＵＡＷ）の同時ストが、米国の大統領選の主要な変数として浮上した。ストの背景には賃金引き上げだけでなく、電気自動車への転換などで自動車製造業に従事する労働者の雇用が大きく減るという不安感が溶け込んでいる。同じような変化をともに経験している韓国の主要完成車メーカーの交渉の現状を察してみた。
◆米国自動車労組のストライキ…なぜ？
来年の大統領選挙の重要な要素でもある。さらに、バイデン大統領は２６日、ウェイン郡ベルビルのＧＭ物流センター付近のデモ現場で「ピケットライン（ｐｉｃｋｅｔ ｌｉｎｅ）」に参加し、ＵＡＷの黒い野球帽をかぶって「メジャー自動車メーカーの好調な実績によって、皆さんは希望するだけの相当な給与の引き上げと他の恩恵を受ける資格がある」とし、労組を支持した。バイデン行政部が、政権初期から電気車育成政策にエンジンをかけると、今年５月にＵＡＷが「２０２４年の大統領選挙でバイデン大統領の支持を留保する」と発表したことに対する融和策というわけだ。トランプ元大統領も、労組関連行事の出席を予告するなど、民心をなだめようとしている。
会社側は費用の増加による競争力低下を理由に最大２０％の賃上げ案を固守しているが、ＵＡＷは４年間で賃金３６％引き上げなどを要求している。何より電気自動車への転換による雇用保障も、主要争点だ。本格的な電気自動車の生産と新技術導入を前に、これ以上遅くなる前に声を上げる必要がある背景のためだ。電気自動車一台の生産に必要な人材は内燃機関車より３０％ほど少ないと知られている。
このようなストの渦に巻き込まれた米国の自動車業界で、一人で微笑んでいる企業がある。自動車製造会社のうち唯一、労組のないテスラだ。テスラはイーロン・マスク氏が創業した２００３年以降、今まで「無労組経営」を固守してきた。ウォール・ストリート・ジャーナルは、ストと賃金交渉がどのような形で終わったとしても、フォード・ステランティス・ＧＭに現状より大きい費用負担をもたらすことが予測され、生産コストで優位にあるテスラは、反対給付で競争力がさらに高まるほかないと報じた。デトロイト自動車メーカーの人件費が福利厚生費を含め、１時間当たりの平均８６ドル（約１万２８００円）ぐらいで、ＵＡＷ側の要求をすべて受け入れたら、１時間当たりの人件費は平均１３６ドルになるのに対して、無労組のテスラはほぼ半額水準の４５ドルということになる。
これに対して政治メディア・ポリティコは「電気自動車転換政策を今のペースで強行すれば、内燃機関自動車労組の続く反発に直面するしかない」、「だからといって、労組側の要求を大幅に受け入れて電気車の転換に速度調節した場合、インフレ抑制法（ＩＲＡ）など政策の成果と効果が下がる危険がある」と指摘した。
ヒョンデ（現代自動車）も同様に、ストが飛び火するのではないかと神経を尖らせつつも、一部では反射利益を享受しうるという見方も出ている。労組なしに、北米地域で自動車を生産しているヒョンデとしては米国自動車メーカーの生産支障が本格化した場合、米国の消費者にとって充分な代替財になる可能性があるということだ。さらに、国内で生産する物量も大半が米国に輸出されるため、物量の供給でも十分な優位を持つ。
実際、ヒョンデをはじめ国内のほとんどの完成車メーカーの賃金交渉は、秋夕（チュソク、中秋節）連休の前にほぼ終わった。ヒョンデがスト無しで団体交渉を終えたのは、２０１９年以降５年連続で、これは１９８７年のヒョンデ労組創立以来、初めてだ。韓国ＧＭの賃金交渉は２６日、事実上妥結されており、ルノー・コリア自動車も２年連続の無紛糾妥結を２０日に実現させた。ＫＧモビリティは先月、早くも今年の賃金交渉を終えた。現在、起亜（キア）の交渉だけが、結局秋夕連休後に持ち越すことになっている。
ただし、電動化への転換が本格化すれば、人材の問題をめぐる労使の葛藤が拡大するという懸念も出ている。人材を減らそうとする会社と定年延長など、雇用安定を求める労組間の立場が別れるためだ。２０１９年にヒョンデ労組が提示した「未来型自動車発展動向と労組の対応」報告書によると、新車生産物量のうち２０３０年に電気自動車が２５％に増えれば、最大２８３７人の人員が減少すると予想された。
◆米国自動車労組のストライキ…なぜ？
来年の大統領選挙の重要な要素でもある。さらに、バイデン大統領は２６日、ウェイン郡ベルビルのＧＭ物流センター付近のデモ現場で「ピケットライン（ｐｉｃｋｅｔ ｌｉｎｅ）」に参加し、ＵＡＷの黒い野球帽をかぶって「メジャー自動車メーカーの好調な実績によって、皆さんは希望するだけの相当な給与の引き上げと他の恩恵を受ける資格がある」とし、労組を支持した。バイデン行政部が、政権初期から電気車育成政策にエンジンをかけると、今年５月にＵＡＷが「２０２４年の大統領選挙でバイデン大統領の支持を留保する」と発表したことに対する融和策というわけだ。トランプ元大統領も、労組関連行事の出席を予告するなど、民心をなだめようとしている。
会社側は費用の増加による競争力低下を理由に最大２０％の賃上げ案を固守しているが、ＵＡＷは４年間で賃金３６％引き上げなどを要求している。何より電気自動車への転換による雇用保障も、主要争点だ。本格的な電気自動車の生産と新技術導入を前に、これ以上遅くなる前に声を上げる必要がある背景のためだ。電気自動車一台の生産に必要な人材は内燃機関車より３０％ほど少ないと知られている。
このようなストの渦に巻き込まれた米国の自動車業界で、一人で微笑んでいる企業がある。自動車製造会社のうち唯一、労組のないテスラだ。テスラはイーロン・マスク氏が創業した２００３年以降、今まで「無労組経営」を固守してきた。ウォール・ストリート・ジャーナルは、ストと賃金交渉がどのような形で終わったとしても、フォード・ステランティス・ＧＭに現状より大きい費用負担をもたらすことが予測され、生産コストで優位にあるテスラは、反対給付で競争力がさらに高まるほかないと報じた。デトロイト自動車メーカーの人件費が福利厚生費を含め、１時間当たりの平均８６ドル（約１万２８００円）ぐらいで、ＵＡＷ側の要求をすべて受け入れたら、１時間当たりの人件費は平均１３６ドルになるのに対して、無労組のテスラはほぼ半額水準の４５ドルということになる。
これに対して政治メディア・ポリティコは「電気自動車転換政策を今のペースで強行すれば、内燃機関自動車労組の続く反発に直面するしかない」、「だからといって、労組側の要求を大幅に受け入れて電気車の転換に速度調節した場合、インフレ抑制法（ＩＲＡ）など政策の成果と効果が下がる危険がある」と指摘した。
ヒョンデ（現代自動車）も同様に、ストが飛び火するのではないかと神経を尖らせつつも、一部では反射利益を享受しうるという見方も出ている。労組なしに、北米地域で自動車を生産しているヒョンデとしては米国自動車メーカーの生産支障が本格化した場合、米国の消費者にとって充分な代替財になる可能性があるということだ。さらに、国内で生産する物量も大半が米国に輸出されるため、物量の供給でも十分な優位を持つ。
実際、ヒョンデをはじめ国内のほとんどの完成車メーカーの賃金交渉は、秋夕（チュソク、中秋節）連休の前にほぼ終わった。ヒョンデがスト無しで団体交渉を終えたのは、２０１９年以降５年連続で、これは１９８７年のヒョンデ労組創立以来、初めてだ。韓国ＧＭの賃金交渉は２６日、事実上妥結されており、ルノー・コリア自動車も２年連続の無紛糾妥結を２０日に実現させた。ＫＧモビリティは先月、早くも今年の賃金交渉を終えた。現在、起亜（キア）の交渉だけが、結局秋夕連休後に持ち越すことになっている。
ただし、電動化への転換が本格化すれば、人材の問題をめぐる労使の葛藤が拡大するという懸念も出ている。人材を減らそうとする会社と定年延長など、雇用安定を求める労組間の立場が別れるためだ。２０１９年にヒョンデ労組が提示した「未来型自動車発展動向と労組の対応」報告書によると、新車生産物量のうち２０３０年に電気自動車が２５％に増えれば、最大２８３７人の人員が減少すると予想された。