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【コラム】韓国内のイラン凍結口座に8兆ウォン…国益守る方法を考慮すべき(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.08.07 13:35
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リー・ クアンユー(李光耀)元シンガポール首相は米国と中国が和解ムードを続けるなか「ゾウが争う時だけ芝生が荒れるのではなく、互いに愛し合っても芝生は荒れる」と表現した。強大国が対立する時だけでなく仲が良い時にも弱小国の権益が踏みにじられる可能性があることを警戒したのだ。

今でも米国は中国とは半導体および台湾問題で激しく対立し、侵略戦争を起こしたロシアとはウクライナを軍事的に支援しながら衝突している。もう一つの敵対国とは秘密裏に関係改善を追求しているが、これは意外にも多くの韓国企業にはチャンスであると同時にリスクとなっている。その国とは米国が「ならずもの国家(rogue state)」とするイランだ。

 
◆オマーン・ニューヨークなどで接触

6月に英国のイラン専門メディアが米国とイランがオマーン・ニューヨークなどで秘密交渉中と伝え、西側の主な通信・新聞の後続報道が続いた。1979年2月のイスラム革命当時、イラン側がテヘラン駐在米大使館の職員を444日間も人質にして以降、米国とイランは長期間にわたり敵対関係を維持してきた。

息子のブッシュ大統領は2002年の一般教書演説でイランを北朝鮮と当時独裁者サダム・フセインが執権中だったイラクと共に「悪の枢軸(asix of evil)」の一つに挙げた。特にイランが中東で米国の最も強力な友邦イスラエルを狙って核兵器を開発中という疑惑が2000年代半ばに提起されると、米国は前例のない包括的国際経済制裁で対応した。その後、オバマ米政権当時、イランは核開発疑惑がある自国内の施設に対する国際原子力機関(IAEA)査察を受け入れることにし、米国と欧州連合(EU)など国際社会はイランに対する経済制裁を解除するという包括的イラン核合意(JCPOA)が妥結した。

しかしトランプ米大統領は2018年にJCPOAを破棄し、対イラン経済制裁を一方的に復活させた。オバマ政権で副大統領を務めたバイデン候補が2020年米大統領選挙でトランプ候補を抑えて執権したが、イラン核合意はすぐに復活しなかった。しかし来年の米大統領選挙を控えて関係改善の動きが表れ始めた。

◆チャンスとリスク、韓国にも大きな影響

超強大国の米国と中東のイランが和解するのは良いことではないのだろうか。特にトランプ政権でのイラン制裁復活でイランとの事業や貿易の機会がふさがった韓国企業には、最近表れている中東ブームを拡大する絶好の機会と見ることもできる。しかし海外メディアによると、両国間の非公式協議内容は韓国にとって朗報ばかりではない。

米国とイランの秘密交渉で手段として使用される可能性があるのが韓国にあるイラン凍結資金であるからだ。国内外の報道などで70億ドル(約1兆円)規模と伝えられている。国内都市銀行2行の韓国ウォン口座とドル換算金額は異なる可能性がある。正確に公開されたことはないが、8兆ウォン(約8720億円)規模と推算される。

秘密交渉中であるためイランや米国ともに公式的ににこれを否認するが、現在まで知られている両国間の非公式合意案はJCPOAを全面的に再復元するまでには至っていないようだ。来年の大統領選挙でトランプ候補と再対決する可能性が高いバイデン大統領にとってJCPOAの全面再復元はイランに過度に融和的という攻撃を受ける理由になりかねない。部分的・暫定的な合意で両国間の緊張を低める程度という見方が有力だ。イランが国際原子力機関(IAEA)の核査察を一部受け入れ、核兵器の製造に使用されるウラン濃縮を一定水準に制限する。またイランが拘束中の米国人を釈放する代わりに、米国は海外のイラン資産をイランが国内に搬入するのを認めるという内容だ。

◆2010年に韓国-イランが韓国ウォン決済で合意

問題は「海外のイラン資産」のうち最も大きな部分を占めるのが韓国にある凍結資金という点だ。このように大規模なイラン資金が韓国の都市銀行2行に凍結された理由は何か。これはイラン核開発疑惑による国際社会のイラン経済制裁と関係がある。

オバマ政権はイラン核合意の5年ほど前の2010年7月1日、包括的イラン制裁法(CISADA)の施行に入った。CISADAの核心は、イランの核兵器開発のための資金源となるイランの石油・ガス分野に投資する外国企業に対する、いわゆる「セカンダリーボイコット」を厳重に執行できるようにするものだ。

これは当時イランに進出中の韓国建設会社・製油企業・総合商社など約3000の企業に大きな影響を及ぼす内容だった。当時、韓国政府は米国の了解の下でイランと韓国の貿易を国際制裁を遵守して進め、米ドルを国際金融網を通して取引せず、韓国とイランの間で韓国ウォン決済口座を開設し、韓国企業のイラン貿易を整理していくことでイランと合意した。

韓国とイランの韓国ウォン決済口座は当時年間110億ドル規模(全体原油輸入量の9.7%)と、イラン産原油を輸入した国内企業が韓国ウォンで代金を支払い、イラン側はウリィ銀行と企業銀行に開設されたイラン中央銀行名義の口座で受けることにしたのだ。国際通貨でなく韓国ウォンを受けたイランとしては別に使うところがなかったため、該当口座の韓国ウォンをイランが韓国から輸入する家電・鉄鋼製品などの代金を精算する用途で使用することにした。これが韓国-イラン間の韓国ウォン決済システムだった。

韓国ウォン決済システムは国際社会のイラン経済制裁中にも両国の貿易を支え、2015年7月のJCPOA妥結でイランに対する国際社会の経済制裁が解除された後にも活用されたが、2018年5月にトランプ大統領がJCPOAを破棄し、翌年5月にイランに対するすべての制裁例外の認定も拒否した。

【コラム】韓国内のイラン凍結口座に8兆ウォン…国益守る方法を考慮すべき(2)

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