現代自動車グループの鄭義宣（チョン・ウィソン）会長が高性能電気自動車「アイオニック５Ｎ」を初めて公開し、「運転がおもしろい車」と評価した。ヒョンデの高性能ブランドである「Ｎ」とし初めて発売する電気自動車であるアイオニック５Ｎは「日常のスポーツカー」を目標にグループの電気自動車関連最高の新技術が総集結したという賛辞を受けている。

◇鄭義宣会長「横に乗るのは意味がない」

鄭会長は１３日、英南部ウェストサセックス州グッドウッドで開かれた自動車イベント「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で開かれたアイオニック５Ｎ初公開行事に参加して記者らと会い、「運転をおもしろくできる。これは運転を直接してみてこそわかる。横に乗るのでは意味がなさそうだ」と話した。

特に鄭会長は「音」を強調した。「内燃機関エンジンの音も聞けるようにして運転をおもしろくさせた車」という説明だ。ＲＰＭと速度、トルクなどの走行情報を総合的に考慮し、ジェット機の音など３つの仮想サウンドを作り出した「Ｎアクティブサウンドプラスシステム」に対する自負心を表わしたわけだ。

グッドウッド・フェスティバルでもこの日アイオニック５Ｎは３６０度ドリフトを見せ、生き生きとしたエンジン音を伝えた。華麗な急加速と急停車を繰り返したアイオニック５Ｎの後輪から白い煙がわき上がり上がりアイオニック５Ｎを象徴する青と赤の爆竹が鳴り響くと現場では感歎と拍手がわき起こった。

◇「運転の情熱に電動化で活気」

内部の反応も鼓舞的だ。アイオニック５Ｎ公開に対し「とても良い」と答えた鄭会長は、試演映像を見てにっこりと笑った。鄭会長は「みんな楽しく働きながら作った車。研究員の自負心がすごくて気持ち良い」と満足そうにした。

ヒョンデの張在勲（チャン・ジェフン）社長も「開発するまでとても高い挑戦課題があったがエンジニアが最後までやり遂げた。新技術の難題も挑戦精神で解決していくのがヒョンデのＤＮＡ」と話した。Ｎブランド責任者を務めるタイロン・ジョンソン欧州技術研究所ディレクターは「運転の情熱に電動化で活気を吹き込む」と話した。

市場の反応もやはり熱い。電気自動車専門誌エレクトレックは今回の発売について「韓国の自動車メーカーが世界の電気自動車市場で強力な競争者としての位置を確立できる道を整えている」と評価した。英国の自動車販売とレビューサイトのカーワウは「ヒョンデが多くの冷やかしとテストの末にアイオニック５Ｎを公開した。未来のＮ自動車に向けた道を見せる」と伝えた。

ユーチューブに公開した動画でも「ヒョンデのフォームが最高だ」「音がロマンチックだ」「残念だった部分がすべて改善された。買ってもいい」という肯定的な反応が相次いだ。ヒョンデＮブランドマネジメント室のパク・ジュンウ常務は「開発陣がコメントひとつひとつをチェックし、コミュニティでも顧客がどんなものを望むのかキャッチした。今回のアイオニック５Ｎも『電気自動車は重いだろう』『電気自動車はつまらないだろう』『感性がないだろう』など顧客のさまざまな意見を反映した」とした。

◇Ｎブランドの粘り、結実するか

この日鄭会長は５年ぶりに新車発表会場を訪れた。鄭会長は高性能車を自動車メーカーの真の技術力を見せられる分野だとみて、疑い交じりの視線の中でも支援を惜しまなかった。高性能バージョンは中型級だけでなく小型級にも最高出力が４００～５００馬力、トルクが５０～６０ｋｇ・ｍに達するツインターボエンジンとこれをしっかり支える車体製作技術を保有しなければならないが、ヒョンデにそうした技術力があるのか信じようとしない人も多かったためだ。

鄭会長は首席副会長時代だった２０１２年にグループ内に高性能事業部を作り、２０１４年にはドイツＢＭＷの高性能ブランドのＭ部門研究所長出身であるアルバート・ビアマン元社長を迎え入れた。欧州技術研究所ディレクターであるタイロン・ジョンソン氏もやはりフォードの高性能ＲＳブランド首席エンジニア出身で２０１９年にヒョンデ入りした。

先月５日には南陽研究所を訪れ鄭会長が直接アイオニック５Ｎに試乗した。張社長もやはり「ＣＥＯインベストデー」で「ポルシェのタイカンに引けを取らない性能」として自信を示した。アイオニック５Ｎは下半期に発売すると見込まれる。業界では１億ウォン未満で価格が策定されるものとみている。