【コラム】21世紀アヘン戦争とフェンタニル
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.05.22 15:55
米国史上唯一の4選大統領であるフランクリン・ルーズベルトは、生前、中国に関心が高く、外祖父のウォーレン・デラノ・ジュニアが中国で事業をしていたという話をよくした。どんな事業をしたのか。米デラウェア大学歴史学科の王院崇教授によると、父方の祖父が従事した事業はアヘン商だった。18世紀末、英国東インド会社が対中貿易赤字を補填するためにアヘン販売を始めたが、祖父を含む米国商人たちも喜んで参加した。
違法にお金を稼ぐことに対して国や民族の区別はなかった。中国広州に進出した米国企業のほとんどがアヘン貿易に従事し、そうして稼いだお金で米国内の慈善事業や教育・交通・医療に投資し、米国を強国にした。一方、中国は銀貨流出と貿易赤字、社会的貧困、国民疲労につながり、没落していった。「手の中のキセル1本、天朝の夢はいずこに戻る(手中煙槍一杆 天朝夢歸何處)」という嘆きが出た。しかし歴史は巡るものだ。
今月初め、メキシコのロペス・オブラドール大統領は「ゾンビ麻薬」と呼ばれる「フェンタニル物質を含む中国の貨物がメキシコの港に到着した」とし「中国からメキシコにフェンタニルが入った証拠になるだろう」と話した。また「問題解決のために中国の習近平国家主席に丁重な書簡を送る予定」とも述べた。ヘロインの50倍、モルヒネの100倍の中毒性を持つフェンタニルの主な供給源がメキシコではなく中国であるというニュアンスが読み取れる。