「目標はアジアカップ優勝だ」。韓国に到着したユルゲン・クリンスマン韓国サッカー代表新監督（６０、ドイツ）が語った覚悟だ。

クリンスマン氏は米ロサンゼルス発の飛行機に乗り、８日午前４時５６分ごろ、仁川（インチョン）国際空港に到着した。

マイケル・ミュラー韓国代表戦力強化委員長（ドイツ）をはじめ、大韓サッカー協会の関係者らが「ＫＯＲＥＡ」と協会エンブレムが入った赤いマフラーと花束を渡して歓待した。

クリンスマン氏はスタンディングインタビューで英語で「朝の早い時間にもかかわらずみなさんの歓迎を受けて感謝している。大韓民国Ａ代表チーム監督という機会を得てこの場にいるのは誇りであり、光栄に思う。成功を継続できるように準備を進めていきたい。韓国がカタールワールドカップ（Ｗ杯）で出した成績を引き継いでいけるよう取り組んでいく」と所感を語った。

大韓サッカー協会は先月２７日、パウロ・ベント前監督の後任にクリンスマン氏を選任した。韓国行きを決心した背景について、クリンスマン氏は「韓国を訪問したことが何回かある。１９８８年ソウルオリンピック（五輪）と２００２年韓日Ｗ杯に訪問した。また、息子が出場した（２０１７年）Ｕ－２０（２０歳以下）Ｗ杯当時も訪問した記憶がある」とし「韓国と韓国人に対して良い経験がある。韓国Ａ代表監督の話を受けた時は本当にうれしかった。韓国は良いチームで、大韓民国は良い国で、良い人がいて期待している。私も韓国の人たちから学ぶことを期待していて、逆にチームも学んでいくことを期待している」と話した。

クリンスマン氏は大韓サッカー協会と２０２６年北中米Ｗ杯本大会まで３年５カ月の契約を結んだ。来年１月にはカタールアジアカップが開催される。韓国が１９６０年から６３年間も優勝していない大会だ。「アジアカップとＷ杯の目標」を尋ねる質問に対し、クリンスマン氏は「カタールＷ杯でＴＳＧ（国際サッカー連盟技術研究グループ）を率いながら、私のコーチの一人チャ・ドゥリを含めて大韓民国のすべての試合をチェックした。韓国サッカーは２０－２５年間、フース・ヒディンク監督を筆頭にウリ・シュティーリケ監督、ベント監督まで良いチームを作った。それでアジアカップの優勝が目標だと言うことができる」と答えた。続いて「韓国はカタールＷ杯で大きなチームを相手に勝利した。ポルトガル、さらに以前にはドイツにも勝った」と言って笑った。韓国は２０１８年ロシアＷ杯グループリーグでクリンスマン氏の祖国ドイツに２－０で勝利した。

クリンスマン氏はカタールＷ杯当時、ＦＩＦＡ　ＴＳＧのメンバーとして共にして韓国行きの懸け橋の役割をしたというチャ・ドゥリを「コーチ」の一人と話した。チャ・ドゥリがＦＣソウルのユース強化室長とクリンスマン氏を補佐する韓国代表チームのアドバイザーを兼任するという見方も出ている。

大勢の人ではなかったが、韓国サッカーファンは早朝から空港に来てクリンスマン氏を歓迎した。ドイツ代表チームの過去のユニホームを持ってサインを要請し、カリカチュアを準備したファンもいた。

ソウルのホテルに移動したクリンスマン氏は９日、坡州（パジュ）サッカー代表チームトレーニングセンター（ＮＦＣ）で就任記者会見を開く。１２日にはプロサッカーＫリーグ１のソウル－蔚山現代戦が行われるソウルＷ杯競技場を訪れる。２４日に蔚山（ウルサン）で開かれるコロンビアとの評価試合でデビューし、２８日にはソウルでウルグアイ戦に臨む。

クリンスマン氏に対する視線は期待半分、心配半分だ。選手当時に「金髪の爆撃機」と呼ばれ、１９９４年米国Ｗ杯グループリーグの韓国戦では左足ターニングシュートなどで２得点した。ドイツ代表を率いて２００６年Ｗ杯３位、米国代表を率いて２０１４年Ｗ杯１６強という成績を残した。

しかしドイツ代表監督当時、家族がいる米国で過ごすことを希望し、「在宅勤務」という声が高まった。独バイエルン・ミュンヘン監督時代に選手だったフィリップ・ラームは自叙伝で「クリンスマンの指導の下、我々は体力トレーニングばかりした。戦術的な指導はほとんどなかった」と暴露した。２０１９年には独へルタ・ベルリンを指揮したが、フェイスブックで球団を批判して２カ月で辞任し、経歴断絶期間が３年にもなる。大韓サッカー協会がクリンスマン氏選任発表の直前に戦力強化委員に一方的に通知したとことが伝えられ、論議を呼んだりもした。