韓国の「世界最高水素経済育成」ロードマップ…龍頭蛇尾の前轍を踏むのか(2)
ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版2023.01.24 11:16
しかし政府は市場形成にいかなる動きも見せていない。まず、比較的成功したと自負する官僚らの誤った考えのためだ。その考えは経済成長時代、電力の供給を渇望して需要があった時期に基づくものだ。当時は常に電気が不足していた。ところがこの電気は炭素に関心がなかった時代、炭素を排出する炭素電気だった。最も安いエネルギー源で生産した電気から供給する「経済給電」が可能だった。ところがPM2.5がイシューに浮上すると、環境に否定的な影響を与えるエネルギー源を排除しようという「環境給電」が重要になった。石炭発電を減らし、液化天然ガス(LNG)発電を増やした。韓国には突然だったかもしれないが、先進国はすでに再生可能エネルギーで電力を供給する「クリーン給電」に進んでいた。そしてその過程で先進国では炭素電気よりもクリーン電気が安くなる「グリッドパリティ」を達成した。当然、RE100を主張し、炭素国境調整メカニズム(CBAM)も率先して進めている。自国産業(企業)に有利であるからだ。
国際投資家がサムスン電子に韓国型RE100を要求しない理由もこれと同じだ。自分たちの再生可能エネルギー証明書(REC)を購入してほしいということだ。REC購買はRE100履行手段の一つとなる。こうした提案はむしろサムスン電子にプラスとなる可能性がある。国内RECよりはるかに安いからだ。すでに国内の多くのグローバル企業はRECの相当部分を海外RECで埋めている。国内にはRECがほとんどないうえ、あるとしても量も少なく、韓国電力が非常に高く受けているからだ。状況がこのように変わったにもかかわらず、政府は過去の電力供給不足時代の政策を呼び水のように注ぎながら、ポンプを押せば地下水がいくらでも出てくるものと錯覚している。価格以外にいかなる製品差別化要因もないが、「市場」もなくこの呼び水で「世界最強」が可能と見ているのだろうか。