「職員を追い出したいと考えたことはたったの1度もない」ある計測機メーカーの社長は、10年以上にわたって「不況との戦争」を行っている。一部の株主と取引銀行は人員削減を督促したが、同社長は経費節減で対抗した。営業費の削減は基本で、数人の幹部は子会社に「出向」させた。
同社長は「日本は技術で発展し、技術は人間の指先から出る。数十年にわたって1つのことだけに専念してきた、もっと言えば代を受け継いできた匠人らの指先からだ。それらの知識、技術が日本を大きくした。 企業が終生を保障してくれなければ、いったい誰がそうしたことをしてくれるだろうか」。