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【時視各角】韓日「可能な次善」が最善策だ

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.07.12 06:56
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日本の安倍晋三元首相の死を哀悼するためホワイトハウスなど米国政府の庁舎と軍部隊で一斉に半旗が掲げられた。類似の前例はチャーチル元英首相、マンデラ元南アフリカ大統領などが挙げられるという。親密な同盟国の米国だけではない。西欧の指導者はもちろん、長い間の領土紛争にウクライナ戦争関連制裁でぎくしゃくした関係であるロシアのプーチン大統領まで安倍氏の母親に親書を送った。国際社会での安倍氏の存在感を実感させる事例だ。

安倍氏の突然の死に接した韓国人の胸中は他国の国民とは違うほかない。彼の歴史認識は不幸な過去史の遺産を抱えて生きてきた韓国国民としては決して同意できないことだ。韓国人の認識の中には安倍氏こそ韓日関係を過去最悪に追いやった原因提供者として残っている。2019年の日本の対韓輸出規制措置を機に起きた日本製品不買運動のスローガンが「No安倍」だった理由だ。

 
2年前に安倍氏が自ら首相を退いた時、日本の経済週刊誌は「安倍氏の辞任を最も歓迎するのは韓国」と書いた。不買運動に出た韓国の大衆には安倍氏さえ消えれば韓日関係が改善されるだろうという漠然とした期待感があった。だが安倍氏の後に続いた菅義偉前首相や岸田文雄現首相も韓国に対する立場は変わりがなかった。強制徴用問題に対する解決策を韓国が先に提示してくればそれにより判断するということだ。

安倍氏が不帰の客となったいまでもそうした期待があるようだ。岸田首相は安倍「上王」の顔色をうかがうほかなかったがこれからは態度を変えるだろうという期待だ。安倍氏が属する派閥の清和会と岸田首相が属する宏池会の政策性向を比較するもっともらしい分析まで付け加える。こうした期待は保守本流と傍系が逆転した自民党派閥間の力学関係の変化、派閥間の政策差別性の希薄にともなう「総保守」への収束現象、特に韓日関係懸案に対する一致した声などをすべて無視してこそ到達できる楽観論ないし希望的観測にすぎない。

韓国人の基準として見ると合理的で謙虚な過去史認識の所有者や韓国の立場をある程度理解してくれる日本の政治家は見つけるのが難く、たとえいたとしてもその声を出すのは難しい状況だ。政界にだけ限定された現象ではない。過去史に対する負債意識がない戦後世代が主軸に登場した世代交代とともに日本社会全般の保守化が進んだ。

安倍氏は先頭で保守・右傾化を導いたが、老練な政治家安倍氏が日本社会の変化に便乗した側面もある。日本政界の主流は安倍氏の継承者で、東京の街で会う市民の中で安倍氏支持者は反対者よりさらに多い。安倍氏は行っても韓国人が叫んだ「No安倍」はこないという話だ。

韓日関係だけに範囲を狭めてみると、安倍氏の死去よりもはるかに大きな変数は韓国の政権交代だ。反日政策を展開した文在寅(ムン・ジェイン)政権の時とは違い、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権に対しては日本も関係改善の必要性を感じている。北朝鮮の脅威と米中競争など地域情勢に対する認識の差も狭まった。

残るカギは強制徴用解決策だ。これは両国が互いに少しずつ退かなければ解決しない。国内で迎える逆風の強度を考えると一方的譲歩による解決は不可能に近い。韓国で提示されたいくつかの解決策は被害者に支払う賠償金の財源を韓国側が充当する案だ。その場合、日本側も当然すべきことがあるだろう。謝罪であれ、立場表明であれ、寄付金提供であれ、日本の参加があってこそ韓国の被害者や交渉反対論者などを説得できるためだ。繰り返すが両国の指導者は「不可能な最善」の代わりに「可能な次善」を選択する決断を下し国民を説得すべきだ。その瞬間、次善は双方ともに最善になる。

イェ・ヨンジュン論説委員

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