【コラム】尹大統領は地獄の門の前に立っている(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.06.13 11:45
世宗はこうした危機を意思疎通と愛民で克服した。御前会議で「まだ果敢な言葉で面前で諫争する者や衆論に反対して論じる者がいない」として直言を要求した。こうした緊張した姿勢が、35年で滅びた後百済、平均300年周期の中国王朝とは違い、朝鮮が518年続く原動力になった。世宗は「民は愚かに見えても実際には神明な存在」とし「空が見るものも民が見るものから始まり、神が聞くことも民が聞くところから始まる」と言った。
いま我々の前に流れる危機の川は苦痛なしに渡ることはできない。痛みは社会的弱者に集中するだろう。咸錫憲(ハム・ソクホン)先生は「涙ぐめばそのレンズを通して天の国が見える」とし、作家キム・フンは「涙が乾けば事物がゆがんで見える」と書いた。憐憫は他人と自分の境界を崩して危機に連帯させる。大統領は地上で最も苦しんでいる人を訪ねて、共に涙を流さなければいけない。金建希(キム・ゴンヒ)大統領夫人も光の跡さえない社会的弱者・少数者の悲しくみすぼらしい現場を訪れることを望む。相手と自分を共に救援する道だ。