【コラム】退任する文在寅大統領の最後の責務(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.05.02 11:29
紀元前5世紀、古代ローマの伝説的な将軍キンキナトゥスが歩んだ道を選択したのだ。キンキナトゥスは強力な外敵の侵入でローマが危機を迎えると、6カ月任期の独裁官に任命された。国を救った後、任期が5カ月間ほど残っていたが、すぐに農夫に戻った。古代ローマの英雄カイザル、英清教徒革命の主役クロムウェルは自ら絶対権力になって共和政を倒した。しかしワシントンは18世紀のキンキナトゥスとなり、未熟な新生アメリカ合衆国を民主共和国に生まれ変わらせた。「反軍の首魁」ワシントンと戦った英国王ジョージ3世も「彼は世の中で最も偉大な人間」として頭を下げた。
ワシントンは1798年、万人の熱望によってやむを得ず初代大統領に就任した。2期目の任期が始まる前には望まず「死刑場に連れて行かれる犯罪者」とまで表現した。終身大統領になってほしいという勧誘を受けたが、任期終了6カ月前に辞任のあいさつ(Farewell Address)をし、自ら独裁者になる可能性を遮断した。2期目を終えて帰郷して農場主になった時、同じ時代の欧州の風雲児ナポレオンは「子孫は彼を偉大な帝国の創設者として崇拝しながら語るだろう。その時、私の名前は革命の渦の中で忘れられるはずだ」と予言した。