【時論】30代の脱北者はなぜ北朝鮮に戻ったのか=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.01.26 11:38
30代の脱北者キムさんが1日、江原道(カンウォンド)東部戦線軍事境界線(MDL)の鉄柵を越えて北朝鮮側に渡った。2020年11月に脱北したキムさんがわずか1年余りで北側に戻った背景をめぐってはさまざまな分析が出ている。賃貸料と保険料が数カ月間滞納し、隣人との交流もほとんどなく、孤立した生活を送っていたという。2019年8月に餓死状態で発見された母と娘(当時6歳)も賃貸料と各種公課金の支払いが数カ月間滞っていた。
1990年代から脱北者の入国が続いているが、脱北者は今でも韓国社会への定着に苦労している。特に文在寅(ムン・ジェイン)政権に入って北朝鮮との関係改善が最優先課題となり、状況はさらに悪化した。北朝鮮政権を意識した低姿勢の対北政策基調が強まるにつれて脱北者に対する視線は冷たくなり、多くの脱北者が生活苦を訴える状況だ。
最近の調査によると、脱北者の孤独死は4倍以上増え、極端な選択は韓国人の平均より3倍以上高い。脱北者が韓国社会で最初に解決すべき問題は職場だ。しかし脱北者の失業率は20%と、韓国人の平均失業率の6倍にのぼる。多くの脱北者は就職に苦労し、就職に成功しても離職する人が多い。南北は政治体制、経済システム、言語と文化が大きく異なるため、短期間の職業訓練および教育だけでは就職や適応が難しい。