【コラム】科学技術人材危機は予見された未来、いま対応すべき=韓国(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.03.29 14:47
2016年のことだから、かなりの時間が過ぎた。韓国国内のある政府出資研究所で国防用の無人機を開発したが、事故が発生した。最初の試製機を飛ばしたところ、センサーの問題ですぐに墜落した。その後、予算を担当するところが数カ月間の監査を始め、結局、試製機の製作に関与した研究員5人が損失費用67億ウォン(約6億5000万円)を分担して賠償すべきというあきれる措置が取られた。これが報道されると、科学技術界は驚いた。インターネットブログには青年科学技術者らのコメントが続いた。最も多かった表現は「早くロースクールや公務員試験を準備しよう」というものであり、さらには「早く韓国を離れよう」という人もいた。幸い、いくつかの過程の中で個人の賠償はなくなり、関連制度の改善があったが、若い科学技術者の胸には深いトラウマとして残った。
人材の話をすれば他にも思い出すことがある。あるグループが苦労して呼んだグローバル技術人材が2、3年も持ちこたえられずに離れていくことが多かった。人事チームはその原因を見いだそうと、去っていく人材を対象にインタビューを行った。次に勤務する会社の年俸は現在と比べてはるかに低いが、いったいなぜ離れていくのか。返答はほぼ一つだ。少し努力すれば達成できる課題ばかり遂行する環境が怖いということだ。挑戦的な試行錯誤の機会がなければ成長できず、このように安住すれば世界の舞台で日々遅れをとるという確実な論理だ。もどかしさを感じている人事責任者の話を聞いて、少し慰めの言葉をかけた。追撃時代にベンチマーキングした習慣を捨てられなかった会社のためであり、人事チームの問題ではないと。