非対面経済がもたらした半導体特需。新型コロナウイルス感染症（新型肺炎）事態のパラドックスだ。

ＳＫハイニックスが今年４ー６月に営業利益１兆９４６７億ウォン（約１７３５億円）を記録して「営業利益１兆ウォンクラブ」に５四半期ぶりに復帰したが、営業利益は昨年同期（６３７６億ウォン）に対して３倍を超えるものとなった。オンライン講義、「Ｎｅｔｆｌｉｘ（ネットフリックス）」視聴など、いわゆる「非対面経済」活性化に伴うＤＲＡＭ・ＮＡＮＤフラッシュなどメモリー半導体販売が増えたおかげだ。分期売上（８兆６０６５億ウォン）も昨年同期（６兆４５２２億ウォン）と比較して３３．４％増加した。

これに先立ち、今月初めに暫定実績を公開したサムスン電子も半導体部門の売上が昨年第４－６月期より１０％以上増えた１８兆～１９兆ウォン、営業利益は５９％増加した５兆４０００億ウォンに達することが予想されながら「Ｋ半導体」の底力を見せた。２３日、４－６月期実績公示後に行われたカンファレンスコールでチャ・ジンソクＳＫハイニックス最高財務責任者（ＣＦＯ、副社長）は「コロナに伴う経営環境の不確実性の中でも、サーバー用メモリー半導体の需要強勢に友好的な価格環境が造成された」と話した。

コロナによってスマートフォンなどモバイル需要は減少したが、リモートワークやオンライン教育、テレビ会議などが活性化しながらグローバルデータセンター用のサーバーのほか、ＰＣ・ノートブックの需要が大きく増加してモバイルの不振を相殺したのだ。ＤＲＡＭシェア１・２位企業のサムスン電子とＳＫハイニックスの４－６月期半導体実績がそろって「アーニングサプライズ」を記録したのもこのような影響のためだ。半導体の需要増加でＤＲＡＭ固定価格（企業販売価格）も今年５月まで５カ月連続で上昇した。

ＳＫハイニックスの実績好調はサーバー用ＤＲＡＭが主にけん引したが、ＮＡＮＤフラッシュの赤字幅も相当部分縮小したとみられる。ＳＫハイニックスは「出荷量は前分期比５％、平均販売価格（ＡＳＰ）は８％上昇した」と明らかにした。今年１－３月期のカンファレンスコール当時、ＳＫハイニックスはＮＡＮＤフラッシュメモリーの黒字転換時期を今年１０ー１２月と明らかにしたが、市場ではさらに前倒しになる（７－９月期）と予想する傾向がみられる。ＮＡＮＤフラッシュの一種であるＳＳＤ（ソリッドステートドライブ）のおかげだ。ＳＳＤは企業や政府のクラウド構築に必要だ。

大信証券のイ・スビン研究員は「ＳＫハイニックスが企業用ＳＳＤの比重を高めながらＮＡＮＤ事業部の収益性を改善している」としながら「ここに４－６月期から１２８段積層型ＮＡＮＤフラッシュの量産を始めたことから、下半期に原価を削減して出荷量を拡大できるだろう」と展望した。ソニー「プレーステーション５（ＰＳ５）」やマイクロソフト「Ｘｂｏｘ　Ｓｅｒｉｅｘ　Ｘ」のような最新ゲームコンソールに搭載されるのも好材料だ。

今後のメモリー半導体価格見通しについてもＳＫハイニックスはやや楽観的な展望を出した。同社ＤＲＡＭマーケティング担当のパク・ミョンス氏は「中長期的にはメモリー需要は堅調」とし「コロナ第２波のようなものが発生しないなら、短い調整だけ受けるだろうと思う」と見通した。７－９月期や１０－１２月期にメモリー半導体価格が底を打つかもしれないが、その後反騰する可能性が高いという趣旨だ。昨年ＤＲＡＭの価格を引き下げた大型顧客（アマゾン・マイクロソフト・グーグル）の在庫水準に対してもパク氏は「上半期にはリスク管理次元で在庫を増やしたことが確認されたが、下半期には正常化するとみる」と答えた。ＳＫハイニックスはＤＲＡＭの場合、来年には今年対比２０％、ＮＡＮＤは２０％後半で３０％序盤まで需要が増えると期待した。

ただし、コロナ特需は韓国半導体メーカーだけが受けたわけではない。世界最大のファウンドリ（半導体委託生産）企業である台湾のＴＳＭＣは最近４－６月期の売上が１０３億８５００万ドル（約１兆１０９４億円）、営業利益は約４３億８２００万ドルを記録して昨年に対して売上は２８．９％、営業利益は７１．８％増加した。ＤＲＡＭ部門３位企業の米国マイクロンも３～５月の売上が５４億ドル、営業利益も８億８０００万ドルで市場の予想値を超える実績を記録した。

この日のサプライズ実績を記録したＳＫハイニックス株は前営業日より０．９６％下落した８万２４００ウォンで取引を終えた。この日の終値基準として、ＳＫハイニックスは年頭に比べて１２．４％、サムスン電子は３．１％それぞれ下落した。