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脱香港より脱韓国がさらに心配…6000人の生計かかる企業が撤退

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.07.22 08:47
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大邱市達城郡(テグシ・タルソングン)にある工場の従業員147人は今月末になれば職場を失うことになる。ここで自動車部品用ベルトを作る韓国ゲイツが撤退するためだ。韓国ゲイツは米国ゲイツが51%、日本のニッタが49%を出資する外国人投資企業だ。

大邱市はパニック状態となった。この会社が廃業すれば従業員だけでなく協力会社とその家族など市民6000人の生計が影響を受けるためだ。先週大邱市の権泳臻(クォン・ヨンジン)市長が米国ゲイツ本社に「撤退決定を考え直してほしい」という内容の書簡を送ったが、まだ返答はない状態だ。同社従業員は「政府が撤退を防いでほしい」として青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)前で座り込みをしている。

 
韓国ゲイツは「新型コロナウイルスにともなう経済余波が影響を与えた」ということ以外に具体的な撤退理由を明らかにしていない。同社は「自動車市場で事業効率性を改善するためグローバル事業環境を検討し続けてきた。重大な事案のため米国本社でも多くの選択肢と代案を考慮し最大限慎重に検討してきたが、残念ながら代案を見つけることができなかった」という立場だ。

米国ゲイツは中国で生産した同じ製品を現代自動車に継続して納品する予定だ。韓国から撤退した後は生産地を中国に移すことになる。このため人件費を削減し労働規制を避けるために韓国から撤退するのではないかとの分析が出ている。韓国ゲイツの昨年の平均給与は5000万ウォン前後とされる。

大邱市のキム・テウン雇用投資局長は「工場残留条件として大邱市次元でゲイツ側に与えられる優遇策が何かも議論している。ただゲイツの意思決定がとても速いスピードで進んでおり厳しい状況」と話した。

慶北大学経済通商学部のナ・ウォンジュン教授は「同社従業員の平均勤続年数を考えれば絶対に高い給与ではない。こうした流れなら韓国からの製造業離脱は加速化するほかない」と話す。ナ教授は「政府・大企業・労働界が力を合わせて雇用流出を防ぐ共生型成功事例を早く作らなければならない」と指摘した。

◇外国人直接投資、昨年より34.6%減る

1日に香港国家安全法が施行されグローバル企業の「脱香港」の動きが始まった。周辺国の誘致競争が本格化しているが、韓国は韓国ゲイツの事例で見るようにむしろ外国人投資流出を心配する状況だ。実際に4-6月期に韓国に入ってきた外国人直接投資(FDI)は43億8500万ドルで、前年同期の67億ドルより34.6%減った。5月に経済協力開発機構(OECD)は今年OECDの平均FDI金額が昨年より約30%減少すると予想したが、4-6月期基準で韓国はその数値を超えている。

製造業だけではない。香港が強い金融業を韓国に引き込むのはさらに厳しい実情だ。殷成洙(ウン・ソンス)金融委員長は16日、「金融中心地戦略の障害と指摘される金融規制は透明性を向上する。ただ金融センターだけに向けた税制と雇用制度改編は限界がある」と明らかにした。週52時間制と税制などは手を付けるのが容易でないという立場だ。

◇「最大の障害物、週52時間制」

週52時間制は企業誘致の最も大きな障害物に挙げられる。2月に外資系金融会社代表は殷成洙委員長に会って「外資系金融会社の社員が海外支店との業務協力などで勤務時間外業務が避けられない場合には週52時間勤務規制適用対象から除外してほしい」と建議した。その後企画財政部が金融センター推進に向け実施した需要調査でも外資系金融会社は「週52時間制を守って働くのは事実上不可能だ」として否定的な回答を送ってきた。

高い税率も韓国行きを忌避する要因に挙げられる。法人税を見ると韓国は最高税率が25%で、シンガポールの17%や香港の16.5%より高い。所得税率に対する指摘もある。香港は現在まで個人所得税率が最高15%だ。中国政府が最近香港にも本土の所得税率である最高45%を適用するとして高所得エリート社員が他に移るだろうという予想が出ているが、移動候補地として主に挙げられるのは最高税率が22%のシンガポールだ。韓国も勤労所得税率が最高で42%(5億ウォン超過)に達するためだ。産業銀行香港法人長を務めたパク・キスン元中国サムスン経済研究所長は「中国の富裕層がこれまで香港に行っていた理由は所得税のため。韓国が彼らを迎え入れるには所得税問題に手を入れなければならない」と話した。

◇法人税・所得税も韓国の競争力落ちる

韓国は2009年にソウルと釜山(プサン)を金融中心地に指定し、金融中心地の新設企業には法人税と所得税を3年間100%免除するとしたが,この制度はソウルには無用の長物だ。法律で「首都圏の過密抑制圏域内の金融中心地は除く」と明示したためだ。

2011年の東日本大震災の時も安全問題を意識したBMWやシティーグループ、ルフトハンザとプライベート・エクイティ・ファンド(PEF)などが日本から本部を引き揚げたが、これらのうち韓国に移した企業はない。

相互矛盾的な金融中心地制度をこの際果敢な経済金融特区追加指定に変えるべきという指摘はそのために出ている。東国大学経営学部のカン・ギョンフン教授は、「今回のグローバル企業の脱香港の機会をつかもうとするなら単純な金融規制整備程度ではなく、シンガポールや日本に劣らない果敢な対策を出さなければならない」と話した。

パク・キスン元所長は「ソウルの汝矣島(ヨイド)を金融特区に指定できるが、外国人が住む住宅がない。外国人学校から補強して長期的な基盤施設構築戦略が必要だ」と提案した。国際金融センターのイ・チフン新興経済部長も「外国資本が進出して生じる投資と雇用創出など肯定的効果を認めなければならない。税制優遇、外国人学校などの生活便宜、主要施設へのアクセス性強化などが備わった特区を通じて資本を誘致すれば製造業中心である韓国経済を金融業と組み合わせて新たなシナジーを発揮できるだろう」と予想した。

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