ポンペオ米国務長官が２３日（現地時間）、米朝間の対話について「非常に現実的な可能性（ａ　ｖｅｒｙ　ｒｅａｌ　ｐｏｓｓｉｂｉｌｉｔｙ）がある」と述べた。米国政府がハノイ米朝首脳会談の決裂後に停止していた交渉の時計を再び動かす方向に進んでいることを表している。

ポンペオ長官はこの日、主要２０カ国・地域（Ｇ２０）会議出席に先立ち、記者らにこのように述べた。ポンペオ長官は米朝間の実務交渉が再開されるかどうかという質問に対し、「北朝鮮から今朝出た発言を見ると、非常に現実的な可能性があるという点を見せている」とし「北朝鮮が非核化議論をする準備ができたという意思を表示すれば、我々ばすぐに行く準備ができている」と答えた。「北朝鮮から出た発言」とは、「金正恩（キム・ジョンウン）同志がトランプ大統領が送った親書を読み、立派な内容があると満足感を表した」という北朝鮮メディアの報道を意味する。

またポンペオ長官は「トランプ大統領の親書を通じて朝鮮半島非核化のために北朝鮮と重要な議論を再開できる土台が用意されることを望む」とし「我々はハノイ首脳会談以降、交渉再開の土台を用意するために努力してきた。我々はより良い位置にいると考える」と述べた。

米朝接触があるかどうかは２６日ごろ訪韓するビーガン北朝鮮担当特別代表の動きに表れる見通しだ。ビーガン代表はトランプ大統領より先に訪韓する。ひとまず韓米外交当局者はビーガン代表が北朝鮮側と接触する可能性について慎重な態度を維持している。外交・統一当局者の話を総合すると、米国側が出した実務級接触提案に対して北朝鮮側はまだ意味のある返答をしてないという。ビーガン代表の訪韓日程表も韓国政府および青瓦台（チョンワデ、大統領府）当局者との会談に集中している。ワシントンの消息筋は「ビーガン代表は２７、２８日ごろ青瓦台関係者との面談を計画していた」と伝えた。

北朝鮮が実務接触に出てくるには時間がかかるという見方も多い。世宗研究所のウ・ジョンヨプ米国研究センター長は「ポンペオ長官は実務交渉再開の可能性に言及しながら『北朝鮮が非核化議論の準備をすれば』と話した」とし「ハノイ会談以降、米朝双方に交渉の態度が変わったという信号はまだ見えていないため、実務接触もすぐに開かれるとは考えにくい」と話した。

しかし北朝鮮は予測不可能な動きを見せることも少なくない。北朝鮮は今年１月にスウェーデンのストックホルムで行われた韓米朝実務接触でも、崔善姫（チェ・ソンヒ）第１外務次官（当時は次官）が日程に迫られて突然会談に応じた前例がある。今回も北朝鮮の動きを最後まで見守るべきという声が出ている理由だ。

もしビーガン代表の訪韓期間に実務接触が実現する場合、その場所では板門店（パンムンジョム）になると予想される。初の米朝首脳会談を控えた昨年５月末、ソン・キム駐フィリピン米国大使と崔善姫外務次官が板門店で非公開会合をした。ビーガン代表が板門店で実務接触をした後に訪韓するトランプ大統領が非武装地帯（ＤＭＺ）を訪れる可能性も提起されている。今後、米朝が向き合って座る時は北朝鮮の対米「ニューフェイス」も公開される。ビーガン代表のカウンターパートだった北朝鮮の金革哲（キム・ヒョクチョル）対米特別代表は現在、公式的な席に姿を現していない。