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【コラム】韓国にはもう帝王的大統領はいない(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2017.06.22 15:46
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◆87年体制はこれ以上存在しない

まず、一部の改憲論者が前面に出している87年体制の核心属性としての帝王的大統領制の変化を見てみよう。民主化初期だけを考えても、韓国の大統領制が権威主義時代の帝王的大統領と別段違わなかったことは事実だ。民主化初期の帝王的大統領を支える核心の柱は2本だった。

 
1本目は、大統領は与党の帝王的総裁として与党所属議員を圧倒的に支配した。国会議員の生死を左右する公認権力は大統領一人で独断的に行使する権力だっただけでなく、大統領はまた膨大な(不法)政治資金を作って与党に対する統制手段として活用した。

2本目は、帝王的大統領は与党(多数与党)に対する帝王的支配を足がかりに、国会の牽制機能を事実上無力化させた。多数党与党が大統領のイエスマンに過ぎない状態で、行政府が提出する予算案、法律案、大統領の人事権に対して国会が実質的なけん制をするということは事実上不可能だった。換言すれば、民主化以降もしばらく国会は権威主義時代の通法府(立法府に対し、法を通過させるだけの機関)と大きく違うところはなく、大統領と国会の関係は帝王的大統領の独走で特徴づけられた。政治学教科書に出てくるけん制や均衡は作動しなかった。

だが、このような民主化初期の帝王的大統領はこれ以上実在しない。韓国の大統領は今日二つの顔を持つ大統領(Janus-faced presidency)に進化した。5年任期の間、大統領は極めて対照的な状況を経験することになる。任期前半は過去のように帝王的大統領としての権力を享受する。任期初期の高い期待を基に高支持率を維持し、これをベースに推進する一連の改革措置〔例えば、金泳三(キム・ヨンサム)大統領の金融実名制導入、軍私組織である一心会解体など〕に後押しされて言論も非常に友好的な態度で一貫する。また、与党も大統領の政策に対して協調的で、よって大統領-国会関係は大統領の圧倒的優位で特徴づけられる。

しかし、大統領の任期が後半に入り込み、時間と支持率という権力資源が萎縮する時、大統領は間違いなく危機の大統領の境遇に墜落した。レームダック大統領としての墜落は、大統領周辺の腐敗スキャンダルで始まることが多い。大統領の親戚や秘線実勢(陰の実力者)の腐敗関与が明らかになって支持率は真逆さまに落ち、大統領の与党・政府組織・国会に対する支配力はあっという間に砂城のように崩れ落ちる。大統領の任期終盤部は何の仕事もできない植物大統領状態になり、最も深刻な場合は国会の弾劾によって大統領職から退くことになる。

整理してみると、過去帝王的大統領はほとんどは、例外なく任期後半にレームダック大統領に転落した。このような二つの顔を持つ大統領への転換は、単に大統領に責任転嫁して済む問題ではない。レームダック大統領現状のもうひとつの背景は、政党体制・選挙制度・国会運営で進めてきた権力分散の結果でもある。権力の分散により、政党・国会が帝王的大統領をけん制して統制する手段は拡大し続け、その結果がこの二つの顔を持つ大統領制だ。


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