これまで韓国のフィギュアスケートは女性の専有物だった。欧州や日本などには優れた男性スターが多いが、韓国でフィギュアスケートは女性たちの運動と考えられてきた。フィギュア女王のキム・ヨナ（２６）の存在があまりにも大きかったという背景もある。だが、もうそのような偏見は捨てなければならない時がきた。中学校３年生のチャ・ジュンファン〔１５、徽文（フィムン）中〕がすい星のように登場したためだ。

チャ・ジュンファンは１０日、フランス・マルセイユで開かれた２０１６～２０１７国際スケート連盟（ＩＳＵ）ジュニアグランプリ（ＧＰ）ファイナル男子シングル・フリースケーティングで１５３．７０点を記録した。８日に開かれたショートプログラムの点数７１．８５点を合算し、合計２２５．５５点で銅メダルを手にした。韓国選手がジュニアＧＰファイナルでメダルを獲得したのはキム・ヨナが２００５～２００６シーズンに優勝して以来１１年ぶりだ。韓国男子選手ではチャ・ジュンファンが初めてだ。ＧＰファイナルは２度のＧＰシリーズの成績を合算して上位６人だけが出場できる大会だ。

チャ・ジュンファンはフリースケーティングでクアドラプル（空中４回転）サルコウをきれいに成功させた。競技を見守っていたコーチのブライアン・オーサー氏（５５、カナダ）が驚いて飛び上がり、歓呼するほど完ぺきなジャンプだった。だが、チャ・ジュンファンはトリプルフリップ－シングルループ－トリプルサルコウを試みたが、１つ目のジャンプで着地ミスを犯し転倒した。残りのプログラムは落ち着いて滑りきったが、１点減点された。

チャ・ジュンファンは「最後まで自分ができることをやり切ろうと思った。初めてのＧＰファイナルなので笑顔で競争を楽しもうと努力した」と話した。チャ・ジュンファンはキム・ヨナの引退後、韓国フィギュアをリードする期待の星の一人に浮上した。今季ＧＰグランプリシリーズにデビューしたチャ・ジュンファンは９月の第３戦で、歴代ジュニア最高点の２３９．４７点を記録して優勝した。１０月の第７戦では右足首と股関節の負傷にもかかわらず、２２０．５４点を獲得して再び優勝し、表彰台に立った。韓国選手がジュニアＧＰシリーズで２大会連続で優勝を占めたのは２００５～２００６シーズンのキム・ヨナ以降、チャ・ジュンファンが初めてだ。

チャ・ジュンファンは来季からシニア大会に出場することができる。２０１８年２月に開かれる平昌（ピョンチャン）冬季オリンピック（五輪）への出場も可能だ。昨年３月からチャ・ジュンファンを指導しているオーサー氏は「チャ・ジュンファンは成長スピードが驚くほど速い。今のスピードで成長すれば平昌五輪の時には技量が絶頂に達するだろう。５位以上の入賞が可能」と話した。オーサー氏はキム・ヨナを世界的な選手に成長させた指導者だ。

小学校２年生の時にフィギュア界に入ったチャ・ジュンファンはキム・ヨナとの類似点が多い。「ジャンプの教科書」と言われたキム・ヨナのようにジャンプの基本がしっかりしている。小学校の時にトリプルジャンプ５種（サルコウ・トゥループ・ループ・フリップ・ルッツ）をすべてマスターした。最近ではオーサー氏の集中訓練を受けながら難易度の高いジャンプを勢い良く吸収している。弱点に挙げられているトリプルアクセルを１年で完成させ、男子シングル選手の必殺技である４回転ジャンプの完成に集中している。今回手堅く成功させたクアドラプルサルコウの成功確率は９０％程度だ。クアドラプルトゥループとクアドラプルループも練習中ではあるが完成度はまだ１０％未満だ。チャ・ジュンファンは「オーサーコーチはジャンプよりスケート技術の訓練を強調する。ジャンプの訓練に集中していた以前とは違ったトレーニング方法を疑問に思ったが、コーチを信頼して訓練を続けているうちに基本技がしっかりしてきた」と話した。１７４センチのチャ・ジュンファンは今も身長が伸び続けている。昨年、１０センチほど伸びてスケートブーツも成人用に変えた。スケート連盟のアン・ソヨン・フィギュア競技理事は「今期に入り、確実に成長した。スピードも速く体力も良くなり、４分３０秒間の演技でも疲れない」と話した。

チャ・ジュンファンはキム・ヨナがそうだったように感情演技と表現力に優れている。大きな目と深い二重まぶたに白い肌が際立つチャ・ジュンファンは子供のころからテレビ広告モデルと子役俳優としても活動してきた。芸能や体育に好奇心旺盛だったチャ・ジュンファンは子供のころからピアノやバイオリンを習った。水泳とバレエ（現代舞踊）もかなりの実力の持ち主だ。チャ・ジュンファンを育てたシン・ヘスク・コーチは「チャ・ジュンファンは幼いころから表現力が優れていた。通常、フィギュア選手は技術を完成させた後に芸術性を伸ばすがチャ・ジュンファンはその反対」と説明した。