10年間に30兆ウォン注ぎ込んだ国策研究…稼いだ事例はほとんどなし=韓国(1)
ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版2016.05.09 13:18
韓国科学技術研究院(KIST)のキム・ムンサン博士(59)は2014年6月6日夕方の衝撃を忘れることができない。テレビで日本の通信会社ソフトバンクの感性ロボット「ペッパー」発売のニュースを見たのだ。テレビの中ペッパーは身長1メートル20センチに腕と指を自由自在に動かし、人の質問にかわいらしい日本語で平然と答えた。だがキム博士が驚いたのはペッパーの性能ではなかった。「来年2月からペッパーを20万円で販売し、まるで家電製品のように一般家庭に広く普及されるだろう」「通信会社がフランスのロボット会社を買収してペッパーを作った」という話のためだった。彼は「その時ゲームが終わったのだと感じた。その日から何日かまともに寝られなかった」と回想した。
キム博士は「ヒューボの父」と呼ばれるKAISTの呉俊鎬(オ・ジュンホ)教授(62)とともに韓国ロボット研究分野の二大巨頭と呼ばれる碩学だ。1987年にドイツのベルリン工科大学でロボット工学博士の学位を受けた後に帰国しKISTに合流、30年間にわたり韓国のロボット研究を牽引してきた。彼は2003年から2013年までの10年間に国家フロンティア技術開発事業である「人間機能生活支援知能ロボット技術開発事業団」を団長として率いてきた。10年間に政府出資金849億ウォンを含む、総額970億ウォンの研究開発費が投入された。