【コラム】歴史の正しい記憶を望むならば…=韓国(2)
ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版2015.11.24 10:55
こうした現実は、北朝鮮と比較しても大きな違いが生じる。対外宣伝の目的もあるだろうが、北朝鮮当局は金日成(キム・イルソン)が1930年代の抗日闘争当時に行ったという演説までも収録した全集や選集を数回刊行し、北朝鮮の住民たちに読まれている。もちろん北朝鮮の場合、このような資料集の刊行が偶像化の目的で利用されているのは良く知られたことだ。とはいえ北朝鮮の青年たちが少なくとも自分たちの指導者がどんな考えで国家を建設してきたかを自然に学んでいるだろうというのは容易に予想できる。
要するに米国・日本・北朝鮮の学生たちは、自分たちの指導者がどんな考えで国家を建設したかを記憶しながら社会の構成員として育っているが、韓国の学生たちはそうした教育の機会そのものを持てずにいる。このような現実は、韓国が今後建設して行く国家の未来のためにおいても深刻な問題にならざるを得ない。
歴史教科書の製作方式をめぐる社会的議論が展開している。しかしより本質的な問題は、私たちの国家共同体がどんな精神によってつくられたのかが正しく記憶されていないという点だ。そうするうちに未来の国家建設のための議論でも、そういう記憶が指針になれずにいる。国家が歴史教科書の製作を主導するからといってこの問題がまともに解決されそうに思われない。今こそ大学が立ち上がって国家共同体が歴史を正しく記憶し、それを基に新しい歴史を作るための方法を考えなければならない。