【コラム】亡命と亡霊の間=韓国(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2015.07.08 17:46
幽霊が街中を徘徊している。路地裏でもぞもぞしているかと思ったら堂々と大通りに出てきた。今月に入り、MERSが停滞する隙間に素早く食い込んできた。新聞やテレビに登場しては声を高める。夏の川水の緑藻のように拡散する一途だ。この頃盛んに名をはせている「脱北亡命」という幽霊だ。
その姿を見ると華麗なことこの上ない。北朝鮮労働党の高位級幹部とほのめかしていたら階級がぐっと上がった。金正恩(キム・ジョンウン)の秘密資金を管理する党39号室の核心という話に軍需工場を掌握する第2経済委責任者級という主張まで増した。南北国防長官会談の時に来た「パク・スンウォン」というスリースター(三ツ星)の将軍(北朝鮮軍の上将)まで実名でキャスティングされた。海外に外貨稼ぎのために出ていた200人余りは、戻ることを拒否しているという話も出てきた。北朝鮮イシューを20年以上取材してきた筆者が見ても、この程度になれば脱北亡命説の最高潮であり、はやり言葉で言えば「歴代級」だ。