「メキシコの実力が優れているという点は認める。多くの専門家たちが優勝候補に選ぶのはそれなりの理由があるだろう。だが、すべての展望は今日までだ。実際の試合でどんな結果が出るかは誰にもわからない」

洪明甫（ホン・ミョンボ・４３）オリンピックチーム監督は試合前日の２６日未明（韓国時間）に開かれた記者会見で意味深長な発言をした。当時、現場で通訳を通して内容が伝わったメキシコの記者らは互いに顔を合わせて鼻でせせら笑った。彼らは試合結果を決めるのは名前の値段や歴代戦績ではなく実力という事実を忘れていた。

韓国オリンピックサッカー代表チームがロンドン オリンピック本戦最初の試合で意味のある引分けをおさめた。２７日未明、英国ニューカッスルのセントジェームズパークで行われたメキシコとのＢ組予選最初の試合で、終始優勢な試合運びで０－０の引分けに終わった。メキシコは大会開幕を控えてスペイン・ブラジルなどとともに優勝候補として挙げられた強いチームだ。

両チームが同じように勝点１点ずつを分け合ったが、試合内容は韓国の圧勝だった。試合前、雨が降って水気を多く含んだグラウンドは当初の予想とは違い、韓国に有利に作用した。韓国の選手たちが前半２０分ごろ、ウォーミングアップを終えて本格的な攻勢を始めたのと違い、メキシコは前半終盤までも滑る選手が続出するなどぬれた芝に苦戦した。

洪明甫監督がメキシコ戦を控え何回も強調した要素がグラウンドで具現した。韓国は強力な圧迫と精巧なパス、素早い空間浸透でメキシコの守備陣営に踏み込んだ。

決定的な場面も何回も作り出した。後半８分、ク・チャチョル（２３・）がキ・ソンヨン（２３・セルティック）のパスを受けて放った右足シュートは相手のクロスバーに当たって飛んでいった。３分後、キ・ソンヨンが飛ばした会心の中距離シュートは相手ゴールキーパーの指先にかかった。後半３５分にキム・ボギョン（２３・セレッソ大阪）のクロスからク・チャチョルが打ったヘディングシュートもまた、相手のゴールポスト左外側に抜けた。試合序盤、騒々しくわめいていたメキシコのサポーターは時間が経つにつれ徐々に口を閉じた。一方、２５０人ほどの韓国海外同胞が叫ぶ「大～韓民国」は英国サッカーファンの参加を引き出して競技場の雰囲気を支配した。

メキシコとの一戦を意味のある引分けで終えたオリンピックチームは３０日未明、コベントリー位置したシティ・オブ・コベントリースタジアムでスイスと２回戦を行う。