「自分自身を越える」－－。

キム・ヨナに与えられた課題だ。 キム・ヨナにとって０８－０９シーズンは「最高のシーズン」だった。 世界選手権大会女子シングルでフィギュアスケート史上初めて２００点を突破（２０７．７１点）し、海外メディアは一斉に賛辞を送った。 「女王陛下よ、永遠に」（ｌｏｎｇ　ｌｉｖｅ　ｔｈｅ　ｑｕｅｅｎ）という記事の見出しは、昨シーズンのキム・ヨナの独走がどれほどのものであったかを物語っている。 今季のキム・ヨナは昨シーズンの再現、いや、それ以上を狙っている。

選曲から慎重に取り組んだ。 キム・ヨナは女子シングル選手が大会であまり使用していない曲を選んだ。 雰囲気を大きく変えて、さまざまな魅力を見せるという計算だ。 ショートプログラムには映画「００７メドレー」を、フリーにはジョージ・ガーシュウィンの「ピアノ協奏曲ヘ長調」を選択した。

キム・ヨナの振付師デビッド・ウィルソン・コーチは「フリーはキム・ヨナのストーリーだ。 フリーの背景曲を聞きながらキム・ヨナの成長過程が見えるようだった」と説明した。 ウィルソン氏は初めて会った当時‘おとなしい少女’だったキム・ヨナを表現するために導入部は神秘的な雰囲気で演出し、‘国際的スター’になった後半部は躍動的なメロディーを主に配置した。

ショートプログラムについてウィルソン氏は「序盤はいろんな主題曲が含まれているためよく分からないかもしれないが最後に００７独特の音楽が出てくる。美しくも危険でミステリーなボンドガールの典型的なイメージを取り入れた。 審査委員だけでなく観衆と疎通する演技が期待される」と話した。

技術的な変化もある。 キム・ヨナがオリンピック（五輪）シーズンを控えて力を入れている部分は、ＧＯＥ点（技術要素＜ジャンプ・スピン・ステップなど＞に対して審判が与える加点または減点）を高めることだ。 キム・ヨナはこのため速いテンポでステップ演技を構成し、ジャンプの前に難易度の高い動作をつなげた。

キム・ヨナは「毎回ステップを練習する時は最高レベルを受けるために努力しているが、これまでずっとレベル３を受けてきた。 悪くはない。 むしろレベル３の演技をうまく消化してＧＯＥ点を多く受けるのが安定的」と語った。

キム・ヨナは「２０１０バンクーバー五輪を控えてジャンプの難易度も高めた。 ジャンプとジャンプの間にステップや方向転換が加わったが、これはＧＯＥ点をたくさん受けられる方法だ。 世界選手権大会以降コーチングスタッフと相談して決めた。最初は難しかったが、練習しているうちに慣れてきた」と説明した。